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フィッシャーの交換方程式(フィッシャーのこうかんほうていしき、)とは、アメリカの経済学者・統計学者であるアーヴィング・フィッシャーが定式化した、古典的な貨幣数量説で貨幣量と物価の関係を表す式である。 ==解説== フィッシャーの交換方程式は、次の式で表される。 : ここで *''M'' : 貨幣量 *''V'' : 貨幣の取引流通速度 *''P'' : 物価 *''T'' : 1期間における財・サービスの取引量 である。 この式において、Vは貨幣の流通速度を意味している。VはVelocity(速度)の頭文字で、一定期間における貨幣の使用回数である。例えば、ある経済の貨幣が1000円札一枚しかないと仮定する。期間を1週間とする。このとき、一週間の間にこの1000円札が3回使用された(3回持ち手が替わった)なら、V=3となる。「M:貨幣ストック」のMはMoney(貨幣)の頭文字で、その経済にある貨幣の量を指す。例えば、ある経済には1000札5枚の貨幣しかないとすると、M=1000×5=5000円である。この5枚の1000円札が一週間にそれぞれ4回使用されたとしよう。すると、このそれぞれの1000円札についてはV=4なので、この経済についてはMV=5000×4=20000円(2万円)ということになる。すなわち、一定期間(この場合は一週間)の購買価格(MV)の合計は2万円である。 「P:物価」はPrice(物価、価格)の頭文字で、物価を表わす。「T:1期間における財・サービスの取引量」はTransaction(取引)の頭文字である。例えば、1個200円のリンゴが100個あるとしよう。ある経済には、この1個200円のリンゴ100個しか売り物がないとすれば、この経済はPT=20000円(2万円)となり、販売価格総額(PT)は2万円である。ある経済全体の購買価格総額と販売価格総額は一致するはずであるから、MV=PT=2万円である。すなわち、MV=PTというフィッシャーの交換方程式は常に正しいことなる。 フィッシャーは、貨幣の流通速度:Vと1期間における財・サービスの取引量:Tは慣習的に(大きな)変動はないとみなした(実際はVを観測するのは非常に難しく、観測はほぼ不可能である)。だとすると、MV=PTの左辺のV、右辺のTが大きく変動しないのであるから、自明なこととして、この方程式においてMとPは常に比例することになる。そうであるならば、M(貨幣量)を増やせば、P(物価)も上昇することになる。あるいは、M(貨幣量)を減らせば、P(物価)も低下するであろう。そうだとすれば、政策論的に言えば、例えばある経済の物価を上昇させたいのであれば、貨幣量を増やせば物価が上昇させることができるとこの方程式から言えるだろう。あるいは、もし物価が下がっているならば、それは貨幣量が足りないからだということができるだろう。これが古典派の貨幣数量説の基本的な考え方である。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「フィッシャーの交換方程式」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Equation of exchange 」があります。 スポンサード リンク
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