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人工運河 : ウィキペディア日本語版
運河[うんが]

運河(うんが)とは、船舶の移動のために人工的に造られた水路であり、河川・湖沼を利用しているものもある。鉄道同様経路中に、橋梁や隧道なども見られる。産業革命以前は船舶を騾馬などが牽引したため、経路に沿って曳舟道(トウパス、towpath、船曳道、牽引路)が設けられている。
== 概要 ==

=== 長距離運河 ===
運河には河川湖沼を連絡する内陸運河と海洋間あるいは海洋と内陸水路とを連絡する海路運河がある〔靑野寿郎・保柳睦美監修『人文地理事典』 p.387 1951年 古今書院〕。半島を横断する運河としてキール運河、地峡(陸の狭窄部)を横断する運河としてスエズ運河パナマ運河がある。海路運河のうち国際条約で原則として自由航行が認められている運河は国際運河と呼ばれる〔〔「現代国際関係の基礎と課題」内第4章「国際関係の法制度」瀬川博義 p76 建帛社 平成11年4月15日初版発行〕。また、内陸運河には河川間を結び水路網を広げるものと、河川に並行して、または河川の通航困難な場所をバイパスして走り、既存の河川水運を改善するものの2つの種類が存在する〔「舟運都市 水辺からの都市再生」p182 三浦裕二・陣内秀信・吉川勝秀編著 鹿島出版会 2008年2月20日発行〕。また、海をつなぐものや内陸を走るもののほかに、海岸線に沿って走る沿岸運河も存在する。このような運河が建設されたのは、沿岸近くは風向きが変わりやすく海流や地形が複雑なうえ河口から流れ込む水流の影響もあり、船舶の航行が困難な海域であるため、そこを通らず内水面のみで沿岸域をつなぐためである〔『川を知る事典-日本の川・世界の川』p250 鈴木理生 日本実業出版社、2003年〕。こうした沿岸運河は、海岸砂州と陸地の間に広がっている細長い水域を利用して建設されることも多い。アメリカのメキシコ湾岸と大西洋岸には、海峡などを運河でつなぎ、外洋に出ることなく沿岸部を航行することができる沿岸内水路がそれぞれ整備されている。マダガスカル東部のインド洋沿岸には、パンガラン運河と呼ばれる全長700㎞に及ぶ潟湖を利用した運河が続いており、輸送や観光に利用されている〔「目で見る世界の国々7 マダガスカル」M.M.ロジャース著 草野淳訳 1991年4月25日初版 国土社 p10〕〔「朝倉世界地理講座 アフリカⅡ」池谷和信、佐藤廉也、武内進一編、朝倉書店、2008年4月 p804〕。
ヨーロッパでは各地に運河が張り巡らされており、大切な交通手段として利用されるとともに、人気のあるレジャーのひとつともなっている。運河をめぐるヨーロッパ各国の概況だが、フランスでは運河を回るだけでほぼ一周することができるとされる。一方、イギリスにも多数の運河が存在するが、これらは産業革命時代に馬車に代わる大量輸送手段として盛んに建設された(運河時代)もので、陶器メーカーのウェッジウッドが馬車輸送による陶器の破損を避けるために製品輸送用の運河を造った例などが有名である。イギリスの運河は幅の狭いものが多かったため、用いる舟はナロウボートと呼ばれる独特の小さな船を用いることが多かった。現代史においては、ドイツでは東西に分裂していた時代、西ドイツの航空機が東ドイツ領に囲まれた飛び地である西ベルリンに到達することが容易ではなかった状況などから、西側からの生活物資の大半がハノーファーから運河で運ばれ、貴重な物流網を成していた。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Canal 」があります。



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