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人道的介入(じんどうてきかいにゅう、)とは、人道主義の理由から他の国家や国際機構が主体となり、深刻な人権侵害などが起こっている国に軍事力を以って介入することをいう。人道的干渉という語が用いられることもある〔英語では「humanitarian intervention」と言われるが、通常この「interevention」という語は日本語では「干渉」と訳される。ただ、「干渉」は「介入」より強い意味を込めて用いられることが多く、違法性を主張する際には「干渉」という語が多く用いられる。最上敏樹『人道的介入-正義の武力行使はあるか』(岩波書店〈岩波新書〉、2001年)ISBN 400430752X。p.14。〕。 == 概説 == 英国の法・政治学者アダム・ロバーツによれば、「単一又は複数の国家が、被介入国の住民の大規模な被災と死を回避する目的で、被介入国の同意なしに武力を使用して実施する強制的活動」とされる。〔上野友也「国際秩序と人命救助」(http://www.cs.kyoto-wu.ac.jp/bulletin/11/ueno.pdf -2013/01/14閲覧)。同じくAdam Robertsの定義を引用した他の論文の例として、「ある国において、住民に対して大規模な苦痛や死がもたらされているとき、それを止めることを目的として、その国の同意なしに軍事力をもって介入すること」(最上敏樹、上掲書p.10)など。なお英文では“coercive action by one or more states involving the use of armed force in another state without the consent of its authorities, and with the purpose of preventing widespread suffering or death among the inhabitants.”(Alex Palmer"Beyond Humanitarian Intervention" http://hir.harvard.edu/pressing-change/beyond-humanitarian-intervention )〕 ただしこの様な定義が一般に定着しているとは限らず、考察の都合から論者によって定義が異なる場合がある。 人道的介入は、武力を用いた強制手段である側面と、国際人権法の制度的保障である側面とを併せ持つため、合法性や妥当性について議論がある。特に現代国際法上、国際連合の目的と原則を定める国連憲章第1章において、人道的性質の国際問題を解決するための国際協力が目的として(1条3項)、加盟国の武力による威嚇および武力行使の禁止が原則として(2条4項)それぞれ定められていることが、人道的介入の法的性格について議論が分かれる要因となっている。〔藤田久一, 松井芳郎, 坂元茂樹編『人権法と人道法の新世紀 : 竹本正幸先生追悼記念論文集 』(東信堂、2001年)ISBN:4887134177。p.18 〕 なお、合法説と違法説の折衷説として、「国連安全保障理事会の決議によって、特定の国家等が合法的に人道的介入を行える」とする説も存在する。〔国際法学会編『国際関係法辞典』(三省堂、2005年)ISBN:4385157510。「人道的介入」の項 〕 なお、本稿で取り扱う「人道的介入」の語は"Humanitarian Intervention"の訳語として広く一般に認知されているが、国際法学では「介入」ではなく「干渉」の語がより一般的であるとする見解もある。これは、国際法上"intervention"が"dictatora interference"(強制的介入)と定義されるのが一般的であり、"intervention"を「干渉」、"interference"を「介入」と訳する用語法がわが国の国際法学上確立している〔中山雅史「人道的介入と国連の課題--NATOによるユーゴ空爆が提起するもの--」(掲載誌:2001-11、創価法学-31巻、掲載誌情報(ISSN形式)03883019)の注(2)より、大沼保昭「「人道的干渉」の法理一文際的視点からみた「人道的干渉」」『国際問題』第四九三号(二〇〇一年四月)三頁-五頁〕からである。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「人道的介入」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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