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他人の顔[たにんのかお]
『他人の顔』(たにんのかお)は、安部公房の長編小説。『砂の女』の次の長編で、「失踪三部作」の2作目となる〔安部公房(聞き手:秋山駿)「私の文学を語る」(三田文学 1968年3月号に掲載)〕。化学研究所の事故によって顔面に醜い火傷を負い「顔」を失った男が、精巧な「仮面」を作成し、自己回復のため妻を誘惑しようとする物語。新たな「他人の顔」をつけることにより、自我と社会、顔と社会、他人との関係性が考察されている〔三島由紀夫「現代小説の三方向」(展望 1965年1月号に掲載)〕。 1964年(昭和39年)、雑誌『群像』1月号に掲載され、同年9月25日に講談社より単行本刊行された。1966年(昭和41年)7月15日には安部自身の脚本で、勅使河原宏監督により映画化された。 なお、単行本は初出誌版を大幅に加筆・改稿し、約2倍の分量に増加した形のものが刊行された。おもに顔や仮面についての哲学的な考察や終局部が加筆された〔「作品ノート17」(『安部公房全集 17 1962.11-1964.01』)(新潮社、1999年)〕〔「作品ノート18」(『安部公房全集 18 1964.01-1964.09』)(新潮社、1999年)〕。 == 主題 == 安部公房は『他人の顔』の主題について、「ぼくはやっと、他人の恐怖をかいま見たばかりのところだ」とし、「ぼくが〈他人〉との格闘をつづけ、新しい他人との通路を発見」してゆく探検を、「ぼくの存在自体にかかわるテーマであるらしい」と述べている〔安部公房「消しゴムで書く――私の文学」(1966年2月)〕。また「失踪三部作」の2作目に当たる『他人の顔』は、「失踪前駆症状にある現代」を書いたとしている〔。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「他人の顔」の詳細全文を読む
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