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伝統中国医療 : ウィキペディア日本語版
中国医学[ちゅうごくいがく]

中国医学(ちゅうごくいがく)とは、中国を中心とする東アジアで行われてきた伝統医学である。東洋医学、中医学、中国伝統医学とも呼ばれる。近年は欧米でもTraditional Chinese medicine (TCM、伝統中国医学)の名で、補完・代替医療として広く行われている。アーユルヴェーダ(インド伝統医学)・ユナニ医学(ギリシャ・アラビア医学)と共に三大伝統医学に数えられ、相互に影響を与えたと考えられている。
中国地域に伝わる伝統医学は多様であるが、中華人民共和国の成立以降整理され、中医学の名で統一理論が確立された〔幸井俊高 『漢方的スローライフ』〈ちくまプリマ―新書〉、筑摩書房、2005年。〕。そのため日本では、中華人民共和国で整理された医学体系を「中医学」とし、それ以前を「中国医学」として区別する場合もある。少数民族土着の医療との対比において、主に漢族が実践してきたものであると考えることもできる。
日本では、漢方医学を中国医学と同じものと捉える人も多いが、漢方医学は中国から伝来した医学が日本で発展したものであり〔、重視する理論や診断法、使用する生薬量などに違いがある〔大塚恭男『東洋医学』 岩波書店、1996年。〕〔松本克彦編著『今日の医療用漢方製剤-理論と解説 』メディカルユーコン、1997年。〕〔小髙修司 『中国三千年の知恵 中国医学のひみつ なぜ効き、治るのか』〈講談社ブルーバックス〉講談社、1991年。〕。日本、朝鮮半島チベットなどの中国周辺の医学は、中国医学の影響を濃く受けて発展した。公文書に漢文を用いた中国・日本・朝鮮半島では書籍の翻訳が必要なかったこともあり、医学書の交流も盛んであった〔真柳誠「「日韓越の医学と中国医書 」『日本医史学雑誌』56巻2号、151-159頁、2010年〕。東南アジアの伝統医学は、中国医学・アーユルヴェーダ両方を取り入れたものが多い。
== 概要 ==
以下のような点が中国医学の特徴として挙げられる。
*全身を見て治療を行う。西洋近代医学とは異なり、複数ある症状をもって「」という概念で治療方針を決める。〔ただし、この「証」も古くは症状の「症」と同じ。例としては、中風証、腰痛証など。現代の鍼灸の流派によっては古体字の「證」を用いることも多い。例として、「肝虚證」「気虚證」など。〕
*人間の心身が持っている自然治癒力を高めることで治癒に導くことを特徴としている。そのために生薬などを用いる。
* 診断も、四診によって行う。西洋近代医学のように機械や採血の検査結果を用いることはない。よって、体を侵襲することがなく、害が少ないとされる。〔診断は、機械のない環境でも行えるというのが特徴である。医院はともかくとして、鍼灸院のような小さな環境でも東洋医学は可能である。ただし、診断にも技術が必要であり、数年の勉強と訓練が求められる。鍼灸師も学校や国家試験だけでは満足な量の勉強ができないため、多くは鍼灸の勉強会や鍼灸院で修行を積む。また、漢方も同様で、学校主体の教育で満足な臨床能力が身につくかどうかは疑問とされており、中国での研修に行く例も少なくない。〕

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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