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信託統治(しんたくとうち、trusteeship)は、国際連合の信託を受けた国が、国際連合総会および、信託統治理事会による監督により、一定の非独立地域を統治する制度である。国連憲章第75条に規定された制度である〔国連憲章76条b項「信託統治地域の住民の政治的、経済的、社会的及び教育的進歩を促進すること、各地域及びその人民の特殊的事情並びに関係人民が自由に表明する願望に適合するように、且つ、各信託統治協定の条項が規定するところに従って、自治または独立に向かってその住民の斬新的発達を促進すること」が定められている。〕。 国際連盟における委任統治制度を発展させて継承したもの。 国際連合の信託を受けて統治を行う国は施政権者という。施政権者は、1か国の場合が多いが2か国以上の共同でもよい。また、国際連合自身が施政権者となることも認められている。しかし、まだ実例はない。 == 信託統治地域 == 信託統治制度が適用される地域は、信託統治地域または、信託統治領という。信託統治地域は以下の 3 つの類型がある。 # 国際連合憲章の発効時、(1945年10月24日)において委任統治されている地域。 # 第二次世界大戦の結果、敗戦国から分離される地域。 #: 実例は、旧イタリア領のソマリランドのみ。 # 海外領土を有する国が自発的に信託統治制度に移行させた地域。 #: 実例なし。 以下の 11 地域が信託統治地域とされた。括弧内が施政権者である。1994年10月のパラオ独立を最後に信託統治領は存在しない。 * 西カメルーン(イギリス) * 東カメルーン(フランス) * ソマリランド(イタリア) * タンガニーカ(イギリス) * 西トーゴランド(イギリス) * 東トーゴランド(フランス) * ルアンダ=ウルンディ(ベルギー) * 西サモア(ニュージーランド) * 太平洋諸島(アメリカ合衆国) * ナウル(イギリス、オーストラリア、ニュージーランド) * ニューギニア(オーストラリア) 委任統治領は、原則として全て信託統治領に移行したが2つの例外がある。 * 1つは、南アフリカ共和国が受任国となっていた旧ドイツ領南西アフリカ(現在のナミビア)である。南アフリカは、信託統治への移行を拒絶し、委任統治制度も国際連盟の解散により消滅したものとして南西アフリカを植民地として扱った。これに対して、1960年に国際連合総会は、委任統治の継続を認定した上でその終了を決議する。1968年には、国際連合ナミビア委員会の統治下におく旨を決議した。しかし、南アフリカは、ナミビアが1990年に独立するまで占領を続けていた。 * もう1つは、イギリスが受任国となっていた旧オスマン帝国領のイギリス委任統治領パレスチナである。ユダヤ人とアラブ人に対する三枚舌外交が第二次世界大戦後に破綻してイギリスに対するテロ攻撃が激化したために、イギリスはパレスチナの統治を断念してこれを国際連合に委ねた(パレスチナ問題)。このため、パレスチナは信託統治に移行しなかった。イギリスの委任統治の期限切れとなる1948年5月14日に、国際連合決議に従ってイスラエルが建国を宣言。その結果、第一次中東戦争が勃発した。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「信託統治」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 United Nations Trust Territories 」があります。 スポンサード リンク
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