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傍分泌 : ウィキペディア日本語版
傍分泌[ぼうぶんぴ ぼうぶんぴつ]
傍分泌(ぼうぶんぴ・ぼうぶんぴつ、、パラクリンシグナリング)とは、細胞間におけるシグナル伝達のひとつ。特定の細胞から分泌される物質が、血液中を通らず組織液などを介してその細胞の周辺で局所的な作用を発揮することである。
== 概要 ==
パラクリンの「パラ」とは「近く」を意味しており、典型的なホルモンは特定の器官で産出された後、血流に乗り遠隔の標的器官で作用を発現するが、傍分泌ではシグナル分子が細胞外液を介して分泌する細胞の近くだけに拡散し、周辺の細胞に働きかける〔栗原勲ほか「特集:ホルモンの病態異常と臨床検査:総論:1.ホルモンとは:産生、分泌、ホルモンレセプター、シグナル伝達」『臨床検査』2008年、52巻、11号、pp1097-1102 (2009年9月13日閲覧)。〕。この傍分泌にかかわるタンパク質はパラクリン因子(または単にパラクリン)と呼ばれ、発生や損傷部位の細胞増殖や腫瘍などにおいて重要な役割を担っている。
例えば、腫瘍細胞はVEGFと呼ばれるパラクリン因子が周りの細胞に働きかけ血管を作り、自らの栄養を確保している。また、ソマトスタチンのような物質は特定の組織からではなく、多くの異なった種類の細胞で産出され隣接する細胞に作用する。
傍分泌とよく似たものに自己分泌(オートクリン)がある。ともに局所的な作用をもたらすが、前者は違うタイプの細胞に作用するが、後者は分泌する細胞と同じタイプの細胞に作用する。しかし双方の作用を持つものもあるため、このふたつをひとくくりにして考えることも多い。また、成長ホルモンのように一般に分泌する細胞から離れたところで働くと思われるホルモンでもパラクリン作用を持っていることがわかってきており、ホルモン(エンドクリン)とパラクリンの差は少ないと考えられる〔Esmond J. Sanders,Steve Harvey. 2008. Peptide Hormones as Developmental Growth and Differentiation Factors. Developmental Dynamics 237:1537-1552〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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