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傾斜生産方式[けいしゃせいさんほうしき] 傾斜生産方式(けいしゃせいさんほうしき、英語:priority production system〔英訳例:飯田賢一『 日本鉄鋼技術の形成と展開 』1979年 〕)とは、第二次世界大戦(以下(先の)「大戦」)後、GHQによる占領行政下にあった日本における経済復興のために実行された経済政策である。当時の基幹産業である鉄鋼、石炭に資材・資金を超重点的に投入し、両部門相互の循環的拡大を促し、それを契機に産業全体の拡大を図るというものであった〔閣議書1946年12月27日〕。工業復興のための基礎的素材である石炭と鉄鋼の増産に向かって、全ての経済政策を集中的に「傾斜」するという意味から名付けられたという〔永江『日本経済史 1600-2000』239頁〕。 同時期に行われていた価格統制等とともに統制経済の一環とも位置づけられる〔『日本経済史1600‐2000-歴史に読む現代』では、大戦下の統制経済と一体で扱われている。〕。 == 決定 == 大戦終了直後の日本では急速なインフレーションが進んだが、その原因の一つに物資の欠乏があり、生産力増強という供給力拡大によるインフレーション収束が図られたものである。第1次吉田内閣は、吉田の私的ブレーンであった有沢広巳が考案したものをもとに、1946年12月27日に『昭和21年度第四、四半期基礎物資需給計画策定並に実施要領』を閣議決定し、「国内施策の一切を石炭の増産に集中する」、さらに「石炭の配分に必要なる諸資材の確保に最重点を施行し」の資材の中で特に鉄鋼を重視した。この閣議決定書では、「経済危機突破のために重大な施策転換を断行するもの」としていた 。 具体的には、石炭・鉄鋼を重点的に増産し、さらに化学肥料、電力などの重点的な産業に資材を重点配給することとした。上記閣議決定においては、「(重点配分に伴い)国民生活は日本経済再建のため当分更に窮乏…」と見通していた。 第1回経済白書 "経済実相報告書" は、「石炭の2割の増産は工業生産を4割増加する。増加した工業生産力は炭鉱に更に大きな増産のための資材機器類の供給を可能とする。かくて増産は増産をうむ。日本経済の矛盾はまず石炭の増産によって解決の緒を見いだすべきである」との見通しを示したという〔経済産業省 『我が国のエネルギー供給における石炭の変遷』4頁〕。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「傾斜生産方式」の詳細全文を読む
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