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働事 : ウィキペディア日本語版
働事[はたらき-ごと]
働事(はたらき-ごと)は、能楽において、演者の所作と、囃子によって構成される部分のうち、その所作が一定の表意的・具象的な要素を持つものを指す。
舞事と同じく、能管小鼓大鼓太鼓(太鼓は入るものと入らないものがある)の四種の楽器が囃子に用いられる。舞事に比べると、全体的に勇壮で活発なものが多いのが特色である。また舞事は大半がシテまたはツレなどによって一人で行われるが、働事には「斬組」や「立廻り」のようにシテを中心とする多人数によって行われるものが含まれる。

== 大小物 ==
能管、小鼓、大鼓によって奏される働事には「カケリ」(翔)、「イロエ」(彩色)、「斬組」、「立廻り」(ハタラキともいう。また立廻りには太鼓入りもある)の四種がある。なおこれらの名称は慣習や流儀によってさまざまに混用されており、斬組をカケリと称したり、カケリや立廻りをもイロエに含んだりすることもあるので、注意が必要である。
*翔(カケリ)
:武将の霊や物狂いなどのシテが精神の昂揚によってはげしく動きまわるもので、(修羅道の苦患様子をうつしている『屋島』や、狂乱のあまりにさすらい歩く『桜川』)。通常は一段二節で、鼓はノリ拍子、笛はアシライを吹く。急激な緩急の変転があるのが特色。なお各流とも『善知鳥』のカケリは特殊であって、段数が増える。
*イロエ
:クセなどの前にシテが静かに舞台を一めぐりする働事。特に表意的な内容はなく、その後に続くクセや序之舞などの序奏的なものとして扱われる(したがって舞囃子などでは通常略される)。無段一節、鼓はノリ拍子、笛はアシライを吹く。『杜若』『桜川』のように女のシテが多いが、『弱法師』のように男のシテが舞うものもあり、『花筐』ではクセの後に奏される。
*斬組
:シテやワキなどを中心として、直面の武士などが多人数で斬りあう働事で、トモ立衆などとして登場するシテ方は、その他大勢の敵役として、シテやワキなどに斬られる役回りである(舞台上では、安座仏倒れなどを行って斬られたことを示したのち、切戸口から退く)。無段一節、鼓はノリ拍子、笛はアシライを吹く。『正尊』『烏帽子折』などにあり、大人数を揃えて華やかな視覚的効果を狙う。
*立廻り
:その曲の場面に応じて、シテなどが囃子に合わせて表意的な所作を行うもの。他の舞事・働事とちがって、固定した型があるのではなく、曲ごとに異なった型がついており、事実上、働事の分類のうえでほかの項目に入らないものをまとめて立廻りといっている。したがってその表現する内容も曲によって異なり、共通の性格をいうことはむずかしい。大小立廻り(『通小町』『百万』)と太鼓入り立廻り(『山姥』)があり、通常は無段または一段二節、鼓はノリ拍子、笛はアシライ。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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