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先込め式 : ウィキペディア日本語版
前装式[ぜんそうしき]

前装式(ぜんそうしき)は、銃砲での装填方式の1つであり、砲身や銃身の先端側の銃砲口から砲弾や銃弾、装薬を装填する方式である。先込め(さきごめ)、砲口装填式マズルローディング (muzzle loading) とも呼ばれる。そのため前装式の銃砲は「前装銃」や「前装砲」「マズルローダー」(muzzle loader) とも呼ばれる。対義語は銃砲尾から装填する「後装式」である。
==特徴==
銃砲の中でも開発初期の小銃であったマスケット銃や、帆走式の戦列艦などに搭載されていた舷側砲は前装式であったため、2発目以降の装填に時間が掛かり発射速度が低かった。特に舷側砲や要塞据え置きの砲においては発射時に砲口を外に向けるため、砲の向きを変えてから再装填する必要があり、多大な時間と労力を要した。これらは兵器の性能としては大問題であり、やがて多くの火器が後装式へと改良されることになった。現代でも行われている礼砲の習慣は、これらの前装式の欠点を受け、式典・会合の直前に銃砲を使用することで次の弾を直ちに発射できない状況を作り、敵意のないことを示したものが起源であるといわれている。
構造的には後装式のような銃砲尾を開閉・気密する機構が必要ないため、部品点数を減らすことができ、場合によっては砲全体を一つの鋳型で鋳造できるため製造や保守が簡単である。そのため、初期の銃砲が出現した時代における工学・冶金技術の程度では、複雑な後装式よりも安全性や耐久性といった信頼性の面で優れていた。艦砲では洋上での故障時に修理や整備に難があるため信頼性の高い前装砲が好まれ、近代的な後装砲であるアームストロング砲が現れた後も後装砲の導入が遅れた。
現代でも運用コスト面では後装式より優れており、連続発射を必要としない火器や、使い捨ての個人装備などで利用される機構である。
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