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全量全袋検査 : ウィキペディア日本語版
全量全袋検査[ぜんりようぜんふくろけんさ]
全量全袋検査 (ぜんりようぜんふくろけんさ) とは、福島県産の玄米すべてに対して2012年(平成24年)8月から産地主体で〔実施されている放射性物質検査。福島県の地域ごとに「全量全袋検査場」をもうけ、持ち込まれた玄米30Kg入りの袋すべてをまずスクリーニング検査し、食品衛生法に定める一般食品中の放射性物質の基準値の半分レベルを超えた袋に関しては、更に時間のかかる詳細検査をおこなう。
2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故由来の放射性物質による汚染が危惧された福島県産の米(玄米)について、安全性の確保(基準値を超える玄米は1袋たりとも流通させないこと)により消費者の安心・信頼を得ることを目的とする。
生産者団体、流通事業者、小売事業者、消費者団体及び福島県などで構成される ふくしまの恵み安全対策協議会 (2012年(平成24年)5月に設立)が検査結果を公式サイトで公開している〔ふくしまの恵み安全対策協議会/取り組み 〕。
全量全袋検査が始まって3年目、年内(2014年8月21日から12月31日まで)に検査場に持ち込まれた2014年産(26年産)新米は基準値超えゼロがとなった〔〔年明けの2015年1月1日以降に持ち込まれた袋についても、基準値超えはない(2015年1月20日現在確認分 )。〕。
== 経緯 ==
2011年(平成23年)に起きた東京電力福島第一原子力発電所事故により放射性物質が飛散した。これによる福島県産の農産物の汚染が危惧されたことから、2011年3月、食品衛生法の規定に基づく放射性物質の暫定規制値(500 Bq/kg)が設定された〔政府広報オンライン「ご存じですか?食品中の放射性物質の基準値は、子どもたちの安全に特に配慮して定められています」 〕。
2011年4月、原子力災害対策特別措置法に基づき、福島県における避難区域、屋内退避区域、および土壌濃度が5000Bq/kgを超える地域について、稲の作付制限が課せられた〔平成23年4月22日農林水産省・東日本大震災について~東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う稲の作付制限地域の設定について 〕。作付制限されない地域については、作付は制限されないものの、収穫時の検査で玄米が暫定規制値を越えた場合は出荷制限が課せられることとなった〔稲の作付に関する考え方・平成23年4月8日・原子力災害対策本部 〕。
2011年には、福島県における同年産米の放射性物質モニタリング調査が実施された。具体的には、収穫前の段階で予備調査を行い、収穫後の段階で本調査を行って出荷制限の要否を判断した。また早期出荷米については圃場ごとに調査した。平成23年10月12日、モニタリング調査の結果を受けて県内全地域の米が出荷可能とされ、知事が「安全宣言」を出したと報じられた〔福島知事、県産米「安全宣言」 二本松産一部は買い上げ・朝日新聞2011年10月13日 〕。ところが、「安全宣言」の翌月の11月16日、福島市旧小国村の生産者自身の依頼で検査された玄米から食品衛生法の暫定規制値を超える630Bq/kgの放射性セシウムが検出された〔厚生労働省・食品中の放射性物質の検査結果について(第248報) 〕〔昨年までの福島県における米の放射性物質調査 ttp://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-entry-802.html〕(ちなみにこの生産者による米は市場には流通していない〔福島市大波地区のコメ出荷停止指示 政府、セシウム検出・朝日新聞2011年11月17日 〕)〔プレスリリース/暫定規制値を超えた放射性セシウムが検出された玄米について 平成23年11月16日 水田畑作課 〕〔100 Bq/㎏を超える23年産米の特別隔離対策について 平成23年12月27日 農林水産省 〕。検査体制について、検査地点の少なさや決定方法についての問題が浮かび上がり、検査の有効性への不信から、福島の米には市場で買い手がつかない状態になっているといわれるような状況となった〔福島県産米から基準越えセシウムが検出  コメ検査体制に突きつけられた疑問符 週刊ダイヤモンド編集部 【第661回】 2011年11月25日 〕。このため、2011年11月16日から平成24年2月3日までの約3ヶ月間、同地区および放射線量が高い地区の農家の生産した米の放射性物質緊急調査を実施。対象となった23247戸中〔旧小国村135戸、特定避難勧奨地点が存在する地域等6市町村22級市町村4910戸、放射性セシウムがわずかでも検出された地域29市町村128級市町村の計29市町村151旧市町村の23247戸 〕、20037戸(86.2%)は検出せず、2627戸(11.3%)は100Bq/kg以下で出荷見合わせ解除となったものの、545戸(2.3%)は100Bq/kg~500Bq/kgで出荷見合わせ(市場流通からの特別隔離対策対象〔農林水産省プレスリリース・「24年産稲の作付に関する考え方」及び「100 Bq/kgを超える23年産米の特別隔離対策」について 〕〔100 Bq/kgを超える23年産米の特別隔離対策について 平成23年12月27日 農林水産省 〕)、暫定規制値の500Bq/kg超えは38戸(0.2%)〔福島県・23年産米の放射性物質緊急調査・結果・出荷制限 〕〔福島県プレスリリース・米の放射性物質緊急調査の結果について(取りまとめ)【訂正】平成24年2月7日水田畑作課 〕。
このときの緊急調査で、土壌中のセシウム濃度が高いからといって収穫された玄米のセシウム濃度が高いとは限らない、むしろ「土壌中の交換性カリウム濃度が極端に低いと玄米のCs濃度が高い」という知見がえられている〔緊急調査の結果(スライド「福島県における米の全量全袋検査の取組みについて」より) 〕。
2012年(平成24年)4月1日に、食品衛生法の規定に基づく放射性物質の基準値(100 Bq/kg)が設定される〔。
2012年の作付制限は、警戒区域及び計画的避難区域、および前年に500Bq/kgの米が生産された地域などについて課せられた〔平成24年3月9日 農林水産省プレスリリース・24年産稲の作付制限区域の設定等について 〕。
2012年5月、生産者団体、流通事業者、小売事業者、消費者団体及び福島県などで「ふくしまの恵み安全対策協議会」が設立される。福島の米については、消費者の信頼を取り戻すためにはサンプリング調査では不十分であるとして、早場米が収穫される8月下旬から年末にかけて、全量全袋検査を行うこととなった〔【県産米の全袋検査】機器不足、出荷遅れ懸念 県配分決定生産者意識と隔たり・福島民報 2012/05/22 〕。2012年8月25日、全量全袋検査の開始式が二本松市で行われた〔平成24年8月25日米全量全袋検査開始式 〕。2012年9月下旬、各地域において検査本格化。検査は各市町村に設置される地域の恵み安全対策協議会が行う〔 福島民報 2012/05/22
〕。たとえば「福島市地域の恵み安全対策協議会〔市内農産物の放射性物質の自主検査結果 【福島市地域の恵み安全対策協議会測定】 〕」「須賀川岩瀬恵み安全対策協議会〔須賀川岩瀬恵み安全対策協議会 〕」など。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「全量全袋検査」の詳細全文を読む



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