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八景(はっけい)とは、ある地域における八つの優れた風景を選ぶ、風景評価の様式〔漢字文化圏では、「八」を好字、聖数として尊重する。→8#その他 8 に関すること〕。10世紀に北宋で選ばれた瀟湘八景がモデルとなり、影響を受けた台湾、朝鮮、日本など東アジア各地で八景が選定されてきた〔飛田範夫『大阪府下の八景の特性 (平成14年度 日本造園学会研究発表論文集)』 日本造園学会誌、Vol.65(5)、P.375-378、2002年〕。なお八景以外にも、四景、十景、十二景などの例も見られる。 == 内容 == 八景は瀟湘八景や西湖八景のように対象が固定されているものも多いが、台湾八景のように時代とともに内容が変遷するものもある。また、8つの風景の組み合わせは瀟湘八景をなぞらえている場合と、知名度の高い名所を中心に選出した場合があり、近年では後者が増えている。前者のような伝統的な形式では、八景を構成する個々の項目は、風景の対象地とそこでの事象や事物を組み合わせている〔山中冬彦『景からみた集落景観と亭 : 韓国安東素山里三亀亭とその八景』 日本建築学会計画系論文集、Vol.586、P.193-200、2004年〕。 事象・事物の内容は瀟湘八景をそのまま踏襲し、 *晴嵐:本来は春または秋の霞。青嵐と混同して強風としたり、嵐の後の凪とする例もある。 *晩鐘:沈む夕日と山中の寺院の鐘楼の組み合わせ。 *夜雨:夜中に降る雨の風景。 *夕照:夕日を反射した赤い水面と、同じく夕日を受けた事物の組み合わせ。 *帰帆:夕暮れの中を舟が一斉に港に戻る風景。 *秋月:秋の夜の月と、それが水面に反射する姿の組み合わせ。 *落雁:広い空間で飛ぶ雁の群れ。 *暮雪:夕方ないし夜の、雪が積もった山。 の8つ〔上野訓、他『江戸八景にみる移ろいとその構造 : 近江・金沢八景との比較を通して』 日本建築学会技術報告集、No.4、P.98-102、1997年〕とする場合(例:近江八景)や、一部を同じものにする場合(例:最初の台湾八景)がある。個々の項目の具体例を挙げると、近江八景の「石山の秋月」のように「石山」(対象となる地)と「秋月」(その地で見られる事象)のようになる。この際、瀟湘八景と同様に前2句+後2句の漢字4文字となるように項目名が設定されることが多い(例:金沢八景)。一方で日本新八景などは対象地のみを選び、そこでの事象・事物は指定していない。また、事象を含む項目と地名のみの項目が混在した八景もある。 日本には中世の16世紀頃から、朝鮮では高麗末期の14世紀頃から概念が受容されたという〔山中冬彦『集落の亭と景 -韓国安東市素山里三亀亭と八景-』 岐阜女子大学紀要、Vol.32、P.167-176、2003年〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「八景」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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