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富士講[ふじこう]

富士講(ふじこう)、浅間講(せんげんこう)
#(狭義)江戸時代に成立した民衆信仰のひとつで〔岩下哲典、世界遺産アカデミー20号、2013年7月15日〕、特に江戸を中心とした関東で流行した、角行の系譜を汲むものをいう。講社に留まらず、その宗教体系・宗教運動全般を指すことも多い。「富士講」と言うと通常はこちらを指している。
#(広義)富士山とその神霊への信仰を行うための講社全般。
== 概要 ==
富士講の活動は、定期的に行われる「オガミ(拝み)」とよばれる行事と富士登山(富士詣)から成っている。オガミにおいて、彼らは勤行教典「オツタエ(お伝え)」を読み、「オガミダンス(拝み箪笥)」とよばれる組み立て式の祭壇を用いて「オタキアゲ(お焚き上げ)」をする。
また信仰の拠りどころとして石や土を盛って富士山の神を祀った富士塚(自然の山を代用することもある)を築く。現在、江古田東京都練馬区小竹町江古田浅間神社)、豊島長崎(同豊島区)、下谷坂本(同台東区小野照崎神社)、木曽呂埼玉県川口市)の4基の富士塚が重要有形民俗文化財に指定されている。
御師(おし)は、角行が説いた信仰の指導者であり、同時に、富士講の講員に富士登山時の宿泊所を提供する役目を荷っている人である。閉山期には御師は江戸などの富士講をまわり、教えを説いた。夏になり富士の開山の時期となると、河口や吉田などにある御師の家に富士講の講員らが続々とやってくるので、宿を提供し、登山道についての情報や登山に必要な食料や装備も提供するなど、様々な世話をした。
なお、狭義の「富士講」は江戸時代においては、吉田の御師による活動のみを指しており、吉田以外の川口・須走・須山などの御師の活動や導者との師檀関係は「富士講」には含まれず、かつそちらの方が一般的な形態であったとする指摘もある〔高埜利彦『近世の朝廷と宗教』吉川弘文館、2014年 ISBN 978-4-642-03461-6 P324〕。
上記とは別に、修験道に由来する富士信仰の講集団も富士講(浅間講)と名乗っている。中部・近畿地方に分布しているが、実態は上記のものと大きく異なり、初夏に水辺で行われる水行(富士垢離)を特徴とする。また、富士山への登山も行うが大峰山への登山を隔年で交互で行うなど、関東のものには見られない行動をとる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「富士講」の詳細全文を読む



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