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公爵 : ウィキペディア日本語版
公爵[こうしゃく]

公爵(こうしゃく、、)は、爵位(五爵)の第1位である。侯爵の上位に相当する〔新村出広辞苑 第六版』(岩波書店2011年)942頁および松村明編『大辞林 第三版』(三省堂2006年)849頁参照。〕。ヨーロッパ貴族称号の訳語、古代中国の諸侯の称号、また明治以降から戦前まで使われた日本華族の称号として用いられる。
日本ではこの「」によって(英語の場合であれば)princedukeの両方の称号を表そうとしたため混乱を生じることとなった。princeは基本的には小国の君主や諸侯、王族の称号であり、dukeは諸侯の称号である。日本語では、例えばモナコリヒテンシュタインの君主、マルタ騎士団長などのprinceを「公」ではなく「大公」と訳すことで「公爵」(duke)との区別をつけようとする場合がある。ただし、こうして便宜的に使用された場合の「大公」は、ルクセンブルクの君主がもつ称号grand dukeやロシア等のgrand prince、オーストリアarchdukeと区別される必要が改めて生じてくる。逆に、日本の華族制度における「公爵」の公式英訳にはdukeではなくprinceが当てられたが、たとえば伊藤博文近衛文麿の爵位が英米ではprinceと訳されることとなり、皇族と誤解されるような場合があった。
== 日本の公爵 ==
日本では、明治維新後の1884年明治17年)に華族令(明治17年宮内省達)が制定され、華族制度が定められた。同令第2条において、華族を世襲制の公侯伯子男の五等爵とし、公爵はその第1位とした。1889年(明治22年)に、貴族院令(明治22年勅令第11号)が制定されると、公爵は同令第1条2号により、公爵たる者は貴族院議員となる資格を与えられることが規定された(華族議員)。1907年(明治40年)には、華族令(明治40年皇室令第2号)が制定され、襲爵、華族の品位その他の手続きが細かく規定された。
公爵は以下の基準(「叙爵内規」)によって授けられた。
#皇族 - 親王諸王より臣位に列せられた者。このような内規はあったが、実際に臣籍降下によって公爵を与えられた例はない。
#公家 - 旧摂関家。公家社会でも最高位に属するとされ、摂政関白に昇る資格を持っていた家柄である。近衛家九条家二条家一条家鷹司家の計5家。
#武家 - 徳川宗家(徳川将軍家)徳川家達家がこれにあたる。1家のみ。
#勲功者 - 国家に偉勲ある者。これは3種に大別できる。
##一つは「偉勲」がなくとも華族たる資格を持っていた家のうち、功績が加味されて本来よりも高い爵位を与えられたグループである。三条家三条実美の功績)、岩倉家岩倉具視の功績)、島津家(旧薩摩鹿児島藩主家)、毛利家(旧長門萩藩主家)の4家がこれにあたる。また、後年侯爵から陞爵した西園寺家西園寺公望の功績)、徳大寺家徳大寺実則の功績)、水戸徳川家徳川篤敬の功績)の3家もこれに含めて考えられる。
##次に本家がすでに公爵となっているにもかかわらず、その人物の特別な功績が認められて別に家を立てることをゆるされ、さらに公爵位を授けられたグループがある。具体的には、藩主ではなかったがその後見人として幕末薩摩藩に大きな影響を与えた島津久光とその子孫(玉里島津家)、大政奉還後に養子の徳川家達に家督を譲って隠棲した江戸幕府第15代将軍の徳川慶喜とその子孫(徳川慶喜家)の2家である。
##元老となった伊藤博文の伊藤家、大山巌の大山家、山縣有朋の山縣家、松方正義の松方家、桂太郎の桂家の5家は、本人の功績によって「新華族」となり、その後本人の功績によってさらに陞爵し、公爵となったものである。伊藤、大山、山縣、松方は当初伯爵であり、桂は子爵であった。最後の元老となった西園寺公望西園寺家を含めると、元老総勢9名のうち6名6家が公爵を与えられたことになる。
※ 特記のない限り、1884年(明治17年)7月7日に受爵。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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