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公理(こうり、Axiom)とは、その他の命題を導きだすための前提として導入される最も基本的な仮定のことである。一つの形式体系における議論の前提として置かれる一連の公理の集まりを公理系(Axiomatic system)という。公理を前提として演繹手続きによって導きだされる命題は定理とよばれる。多くの文脈で「公理」と同じ概念をさすものとして仮定や前提という言葉も並列して用いられている。 公理とは他の結果を導きだすための議論の前提となるべき論理的に定式化された(形式的な)言明であるにすぎず、真実であることが明らかな自明の理が採用されるとは限らない。知の体系の公理化は、いくつかの基本的でよく知られた事柄からその体系の主張が導きだせることを示すためになされることが多い。 なお、ユークリッド原論などの古典的な数学観では、最も自明(絶対的)な前提を公理(Axiom)、それに準じて要請される前提を公準(Postulate)として区別していた。 == 公理の例 == 以下にいくつかの公理の例を示す。 * 命題 P が成立するなら、命題「PまたはQ」も成立する。 * 2つの点が与えられたとき、その2点を通るような直線を引くことができる(ユークリッド幾何学)。 * ''a''=''b'' なら、''a''+''c'' = ''b''+''c''である(ユークリッド原論を参照)。 * どんな自然数に対しても、その数の「次の」自然数が存在する(ペアノの公理)。 * どんなものも含まないような集合(空集合)が存在する(公理的集合論)。 * 集合 ''S'' と条件式 ''P'' が与えられたとき、''S'' の元のうち、条件 ''P''(''x'') を満たすような ''x'' だけからなる集合を作ることができる(公理的集合論)。 * すべての集合 ''x'' に対して、''x'' ''U'' のようなグロタンディーク宇宙 ''U'' が存在する(グロタンディーク宇宙)。 公理にもとづいて証明される命題は定理という。以下に定理の例を示す。 * 三角形の内角の和は180度である(ユークリッド幾何学)。
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