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共産主義(きょうさんしゅぎ、、)とは、政治や経済分野での思想や理論、運動、体制のひとつ、財産の一部または全部を共同所有することで平等な社会をめざす〔広辞苑(第六版)「私有財産制を否定して共有財産制を実現することで貧富の差をなくすことをめざす思想・運動。」〕〔オックスフォード・オンライン辞典「全ての財産が共同体によって所有され、各人は能力に応じて働き必要に応じて受け取る社会機構に関する学説または制度 (a theory or system of social organization in which all property is owned by the community and each person contributes and receives according to their ability and needs.)」communism - oxford dictionaries 〕〔「全ての財産が共同で保持され、実際の所有は全体としての社会または国家に帰せられることに基礎をおいた社会機構に関する学説または制度 (a theory or system of social organization based on the holding of all property in common, actual ownership being ascribed to the community as a whole or to the state. )」communism - dictionary.com 〕〔「財産の集団的な所有や、全構成員の共通利益のための労働の組織を特徴とする、理論的な経済システム(A theoretical economic system characterized by the collective ownership of property and by the organization of labor for the common advantage of all members.)」communism - The free dictionary.com 〕〔「財産(特に土地や生産手段)を共有する社会システム」(A system of social organization in which property (especially real property and the means of production) is held in common. )」 communism - The Columbia Encyclopedia]〕。その理念、共有化の範囲や形態、あるいは共産主義社会実現のための方法論などには古くから多数の議論があり、このため「共産主義」の定義は多数存在している〔「しかし、近年、共産主義実現の方法や形態が多様化し、思想も多様化する傾向にある。」『現代政治学小辞典』有斐閣双書〕。 共産主義の源流とされる思想の歴史は古く、プラトンの国家論〔プラトンは「理想国家」の章で「婦女と子供の共有」を挙げた(「国家 (上)」(岩波書店、1979年)、p368-379)〕〔佐々木毅「プラトンの呪縛:二十世紀の哲学と政治」(講談社、1998年、p276)〕、キリスト教共産主義などの宗教における財産の共有、空想的社会主義と呼ばれる潮流における財産の共有、フランス革命でのジャコバン派、一部のアナキズムによる無政府共産主義などがある。19世紀後半にカール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスが共産主義思想を体系化し、市民革命で確立した私有財産制を制限し、共有化する財産の種類を資本に限定した、資本家による搾取のない平等な社会をめざす「マルクス主義(科学的社会主義)」が共産主義思想の有力な潮流となった〔『共産党宣言』(カール・マルクス、フリードリヒ・エンゲルス)「共産主義の著しい特徴は、一般に所有を廃止することではなく、ブルジョワ的所有を廃止するところにあるのです。しかし近代のブルジョワ的私的所有は、階級対立に、少数者による多数者の搾取にもとづく生産と生産物の専有のシステムの、最後の、最も完成された表現なのです。この意味で、共産主義者の理論は、私的所有の廃止という唯一つの文に要約できるかもしれません。」〕。また十月革命の成功によるソビエト連邦の成立により、ウラジーミル・レーニンによる革命的な党の組織論などをマルクス主義に総合した「レーニン主義」が影響力を高め、後に「マルクス・レーニン主義」として定式化された。更にレフ・トロツキーによるマルクス主義の概念である「トロツキズム」、毛沢東による当時の中国の状況に適合させたマルクス主義の解釈である「毛沢東主義」など、マルクス主義は革命の起こった国の指導者の考えや国情により多数の思想や理論、運動、体制となり世界へ広まっていった〔Holmes 2009. p. 01.〕 。ソ連崩壊以降は「正統派マルクス主義」の影響力は世界的に大きく低下したが、マルクス主義または非マルクス主義の、各種の共産主義の思想や運動が存在し続けている。 共産主義のシンボルには、社会主義と同様に赤色や赤旗が広く使用されている。また特にマルクス・レーニン主義系の共産主義を表すシンボルには赤い星や鎌と槌なども使用されている。 == 呼称 == 共産主義は、コミュニズム(、)の日本語訳で、語源は「共有」や「共有財産」を意味するラテン語のコムーネ()である〔大日本百科辞典(ジャポニカ)「コミュニズムの訳。これは共有財産を意味するラテン語のコムーネからきた言葉で、人間が人間を支配し、搾取することのない社会体制(共産社会)、あるいはその実現を目標とする思想。今日では一般にマルクス主義ないしマルクス=レーニン主義の意味に使われている。」〕〔「共有財産を意味するラテン語のcommuneに由来する英語のcommunismを訳したことば。人間が人間を支配したり、搾取したりしたりすることのない社会体制(共産社会)、あるいはその実現を目的とする思想を意味する。しかし現在では、一般に「マルクス主義」あるいは「マルクス-レーニン主義」の意味に用いられる。」塩田庄兵衛『エポカ 新版』旺文社〕〔「ラテン語communia(共有・共同共有財産)を語源とし、生産手段の私的所有を廃止して、公的所有を確立し、人間による人間の搾取をなくそうとする思想。」『現代政治学小辞典』有斐閣双書〕 。広義では私有財産制による経済的自由主義との対比語でもあるが、特に第二インターナショナル分裂以降は、社会主義勢力の中でも特にマルクス主義やレーニン主義勢力に対する呼称ともなった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「共産主義」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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