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『兵士の物語』(へいしのものがたり、)は、1918年に発表された、朗読と演劇、バレエを総合した舞台作品〔『最新名曲解説全集6 管弦楽III』音楽之友社、1980年、390ページ、執筆:塚谷晃弘〕。ロシアの民話をもとにシャルル・フェルディナン・ラミューズ(Charles-Ferdinand Ramuz)が台本を制作し、イーゴリ・ストラヴィンスキーが作曲した。 == 概要 == 舞台上、7人からなる小オーケストラと語り手、兵士、悪魔、の3人の人物が登場する(原作に台詞はないが王女の役を加えることも可能〔コクトー版〕。オーケストラは弦楽器、木管楽器、金管楽器のそれぞれから高音と低音を受持つものを選び、打楽器を加えた七重奏、すなわちヴァイオリン、コントラバス、ファゴット、クラリネット、コルネット、トロンボーン、それに打楽器である。打楽器は作曲者本人の指定を多少改変した〔チェスター社 1987 年版スコア。Editor's note〕トライアングル、タンバリン、小太鼓2台に中太鼓、大太鼓にシンバルが用いられ、1人の奏者によって演奏される。この独特な編成は、作曲された第一次世界大戦直後の、人も物資も不足した状況を反映している。 多彩な作風を持つストラヴィンスキーのロシア時代と新古典主義時代の境目の作品で、題材に民族主義、規模やそれぞれの楽器のソリスティックな扱いにコンチェルト・グロッソ、またタンゴやラグタイムの活用やリズムの扱いにジャズなどのさまざまな要素が作曲者の個性によって統一された作品である。 上演には約1時間を要するが、演奏時間でその半分程度の組曲版(全9曲)も作られた。後者はストラヴィンスキー自身によりヴァイオリン、クラリネット、ピアノのための三重奏にも編曲された。この室内楽版では演奏時間がさらに半分程度に縮減され、全5曲からなる。 初演はラミューズとストラヴィンスキーの共通の友人でもあるエルネスト・アンセルメの指揮により1918年9月28日にローザンヌ劇場にて行われた。美術はルネ・オーベルジュが担当。朗読はエリー・ガニェバン、兵士役はブリエル・ロッセル、悪魔役はジャン・ヴィラール(悪魔が踊るシーンのみジョルジュ・ピトエフが代役)、王女役はリュドミラ・ピトエフがそれぞれ演じた〔『最新名曲解説全集』、392ページ〕。 組曲版の初演は1920年、室内楽版の初演は1919年。出版は1924年にチェスター社から。 原作はフランス語。ロシアの民話(とくにニコライ1世下の残酷な徴兵制度〔観世・岩城版録音の解説〕)を下敷きにした物語。英語版とドイツ語版も出版されている。日本語版も存在し、語り手や登場人物にさまざまなジャンルのアーティスト(たとえば観世栄夫やデーモン小暮閣下)が出演してきた。最近では筒井康隆が語り手を担当した際、語り手以外全ての登場人物の発言を語り手に集約する、言わば「ひとり語り」バージョンが新たに編集されている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「兵士の物語」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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