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兼用工作物(けんようこうさくぶつ)とは、 浄水場上の公園、道路と堤防や河川を横断する道路橋梁と河川の護岸、道路と地下駐車場や鉄道の踏切施設や軌道施設、駅前広場から、瀬戸大橋のような鉄道橋と道路橋の併用橋梁、別管理者同士での多目的なダム、札幌市北3条広場のような地上広場が街路(北3条通)の一部を広場化で一体化、 といった公共の用に供する複数の工作物や施設などが、相互に効用を兼ねる場合での当該施設及び工作物。 河川法第17条では兼用工作物に関し、河川管理施設と河川管理施設以外の施設又は工作物とが相互に効用を兼ねる場合において、河川管理者及び河川管理施設以外の施設又は工作物の管理者は、協議して別に管理の方法を定め、当該河川管理施設及び他の工作物の工事、維持又は操作を行なうことができるとし、第2項で河川管理者は、前項の規定による協議に基づき、他の工作物の管理者が河川管理施設の工事、維持又は操作を行なう場合において、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならないとしている。例示として、多目的ダムの場合について、解説は多目的ダム#兼用工作物を参照。 海岸法では第15条で兼用工作物の工事の施行についての定めがあり、海岸管理者は、その管理する海岸保全施設が道路、水門、物揚場その他の施設又は工作物の効用を兼ねるときは、該当工作物の管理者との協議によりその者に当該海岸保全施設に関する工事を施行させ、又は当該海岸保全施設を維持させることができるとしている。また第30条で海岸管理者の管理する海岸保全施設が他の工作物の効用を兼ねるときは、当該海岸保全施設の管理に要する費用の負担については、海岸管理者と当該他の工作物の管理者とが協議して定めるものとするとしている。 都市公園法では第5条で、都市公園と河川、道路、下水道その他の施設又は工作物とが相互に効用を兼ねる場合に、当該都市公園の公園管理者及び兼用相手の他施設又は工作物の管理者とは、当該都市公園及び他の工作物の管理については、第2条の3(都市公園の管理)の規定にかかわらず、協議して別にその管理の方法を定めることができるとしている。ただし、他の工作物の管理者が私人である場合、都市公園について都市公園に関する工事及び維持以外の管理を行わせることができないとし、第2項では河川法と同様、前項の規定により協議が成立した場合においては、当該都市公園の公園管理者は、成立した協議の内容を公示しなければならないとしている。 また近年創設された立体都市公園制度では、主に公共施設との兼用を想定した兼用工作物としてみており、公園と相手施設同士が相互に効用を兼ねない場合には制度が適用できないこととなっている。 道路法では第20条で、兼用工作物の管理について規定している。道路が他の工作物としての性格を有するものである場合、他の工作物としての管理も行われることになる。第1項の規定からこのため、兼用工作物を実際に管理する場合において、両者の調整を図るため、兼用工作物の管理については道路管理者と他の工作物の管理者とが協議してその管理の方法を定めることができることとし、当該別の工作物の管理者が兼用工作物となった道路を管理するとき、法第20条第1項では、法第13条第1項及び第3項並びに第15条から第17条の規定にかかわらず、管理の方法を定めることができるとされている。 道路法第20条は任意規定であって、条文は兼用工作物の適切な管理を図るため、やむを得ない場合を除き協議することを望んでいるのであるが、道路管理者は、もし法第20条の規定による兼用工作物の管理の方法についての協議がない場合でも、他の工作物の管理者に当該兼用工作物に係る道路に関する工事を施行させ、又は道路の維持をさせることが適当であるとき、法第21条の規定により、他の工作物の管理者に当該工事の施行又は維持を命令することができる。 協議の対象となる道路の管理は、道路の新設・改築・維持・修繕等の事実行為に限らず、占用許可、工事施行、費用負担の命令、監督処分の発動等の行政権限の行使についても行うことができるが、法第20条第1項ただし書で、都市公園法と同様に、工作物の管理者が私人である場合においては、道路に関する工事及び維持以外の管理を行わせることはできないこととされている他、国道の新設又は改築について、全国的な幹線道路網を形成するものであることから、道路管理者において直接行うことが適当との考え方に基づき、本条の協議の対象から除外されている。 道路法施行令第5条において、道路の区域を公示する権限、道路台帳を調製・保管する権限等は他の工作物の管理者に代行させることができないこととされている。このため、これらの権限を協議の対象とすることはできない。 道路法施行令第6条では、協議の結果他の工作物管理者が代行することとなった道路管理者の権限のうち道路の区域の決定・変更の権限や占用の許可の権限等の諸権限を当該他の工作物の管理者が行った場合においては、遅滞なくその旨を道路管理者に通知しなければならないこととされている。 道路法第20条第2項では国土交通大臣が道路管理者として他の工作物の管理者と兼用工作物の管理の方法について協議した場合に当該協議が成立しないとき、国土交通大臣は当該他の工作物について所轄権限を有する大臣と協議するとしている。こうして、できるだけ当該兼用工作物の管理に係る協議を成立させることを実際の運用において望ましいという趣旨から規定が設けられている。 また、道路法第20条第3項では、国土交通大臣以外の道路管理者と他の工作物の管理者との間で兼用工作物の管理の方法について協議が成立しない場合にも、兼用工作物の性格からできるだけ当該協議を成立させることが望ましいため、国土交通大臣及び他の工作物に関する主務大臣又は都道府県知事に対する裁定を申請することができるとされている。 道路法第20条第4項では、兼用工作物の管理方法について、国土交通大臣及び他の工作物に関する主務大臣又は都道府県知事が裁定を行う場合には、法第7条第6項を準用し、これにより国土交通大臣及び他の工作物に関する主務大臣又は都道府県知事は裁定に当たって、当該道路の道路管理者及び他の工作物の管理者の意見を聴かなければならないことされ、これらの管理者の意見は十分尊重すること、当該道路の道路管理者が意見を提出しようとするときは、指定区間外の国道にあっては、道路管理者であり管理費用の負担者である都道府県の議会に諮問しなければならず、その他の道路にあっては、その道路管理者であり管理費用の負担者である地方公共団体の議会の議決を経なければならないとして、地方公共団体の意見を十分反映させることとされている。 道路法法第20条第5項は、同条第2項の規定による協議が成立した場合又は第3項の申請に基づき裁定がなされた場合には当該兼用工作物に係る道路管理者と他の工作物の管理者との間の協議が成立したものとみなされ、道路管理者及び他の工作物の管理者は、当該協議又は裁定に拘束され、それに従って当該兼用工作物を管理しなければならないこととされている。 兼用工作物の費用の負担については、道路法第55条で費用負担に関する協議に関する規定が置かれている。管理は費用の負担とは切り離しえないため、実際に兼用工作物の管理方法について協議するとき、その費用の負担についてもあわせて協議している。 == 関連項目 == * 構造物#複合構造物 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「兼用工作物」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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