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内在性レトロウイルス
内在性レトロウイルス (Endogenous retrovirus, ERV) とは、ゲノム内に存在する内在性ウイルス様配列のうち、レトロウイルスによく似た、おそらくレトロウイルス由来のものを指す。顎口上綱のゲノム中によくみられ、ヒトゲノムの 5–8%(最低でも ~1%)を占める。ERVはトランスポゾンと呼ばれる遺伝子の一種で、パッケージ化されてゲノム内を移動することができ、遺伝子発現およびにおいて不可欠な役割を果たす〔Emergence of vertebrate retroviruses and envelope capture Felix J. Kim, Jean-Luc Battini, Nicolas Manel, and Marc Sitbon Virology (2004) 318: 183〕。研究者によると、レトロウイルスはERVを含むレトロトランスポゾンと呼ばれるから進化したことが示唆されている。これらの遺伝子は、突然変異によりゲノム内を移動するだけでなく外在性になったり感染性を獲得することがある。このことから、必ずしも全てのERVがレトロウイルスによる遺伝子挿入の結果とはかぎらず、逆にレトロウイルスの元遺伝情報となったものもあるかもしれない。 == 生成 == レトロウイルスの複製サイクルには、ウイルスのゲノムをDNAに転写したものが宿主の細胞核ゲノムに挿入される(組み込まれる)ことが必要である。ほとんどのレトロウイルスは体細胞に感染するが、生殖細胞(卵子や精子を生産する細胞)に感染することも起こりうる。稀に、レトロウイルスが存可能な生物個体に発生することがある。この個体は自己のゲノムに組込まれた形でレトロウイルスのゲノム、つまり内在性レトロウイルス (endogenous retrovirus, ERV) を持ち、そのたちは新しい対立遺伝子としてそれを遺伝的に受け継ぐこととなる。多くのERVが宿主のゲノム内に何百万年も残っている。しかし、ほとんどは宿主のDNA複製の際に不活性化突然変異を受け、もはやウイルスを生産する能力は失っている。 ERVはまた、recombinational deletion と呼ばれる、新たに組込まれたレトロウイルスと隣接する同一の配列との組み換えによりウイルスゲノム内部のタンパク質コーディング領域が削除されるプロセスにより、部分的に切除されることもある。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「内在性レトロウイルス」の詳細全文を読む
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