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円周率の無理性の証明 : ウィキペディア日本語版
円周率の無理性の証明[えんしゅうりつのむりせいのしょうめい]

円周率の無理性の証明(えんしゅうりつのむりせいのしょうめい)は、円周率無理数であること、すなわち円周率の小数展開が無限に続き、しかも循環しないことの証明である。円周率が無理数であること自体はよく知られた事実であるが、その証明を目にする機会はあまりない〔小平邦彦は、晩年のエッセイの中で「最近初めて証明を読んだ」と記している(小平 p.79)。『数学セミナー』2004年12月号の特集「知っているようで知らない証明に再挑戦」で「 の超越性」が取り上げられた。〕。知られている中で最も簡単な証明は、初等的な微分積分学のみを用いるものである。
== 歴史 ==

円周率は古代から考察の対象とされ、無理数であることは紀元前4世紀アリストテレスが予想していたが、証明されたのは二千年以上後のことである。1761年ドイツの数学者ランベルトは、正接関数の無限連分数表示
:\tan x=\cfrac
を用いて、初めて円周率の無理性を示した〔歴史については Beckmann 16章 を参照。証明については Hairer & Wanner 1.6節 を参照。ランベルトの原論文は Mémoires sur quelques propriétés remarquables des quantités transcendantes, circulaires et logarithmiques. Mémoires de l'Académie royale des sciences de Berlin, année 1761/1768, 265-322 pdf ファイル 〕。その証明は現代的にはやや不満の残るものであったが、1794年フランスルジャンドルは厳密な証明を与え、さらに も少なくとも無理数であることを発見した。したがってルジャンドルは の無理性よりも強い結果を示した。
20世紀には、初等的な微分積分学の知識のみを用いた証明が発見された。そのうち最もよく知られたものは、カナダ出身のニーベン1947年に発表した証明〔Ivan Niven, ''A simple proof that π is irrational'', Bulletin of the American Mathematical Society, 53 (1947), 509. 論文の PDF ファイル 〕である。それ以前の1945年にも、イギリスのが似た証明を与えている。彼女はそれを公表しなかったが、後にジェフリーズの著書に収録された〔Jeffreys p.268〕。1949年日本岩本義和は、ニーベンのアイデアを用いて が無理数であることの初等的な証明を与えた〔Aigner & Ziegler 6章。原論文は Y. Iwamoto, ''A proof that is irrational'', Journal of the Osaka Institute of Science and Technology 1 (1949), 147-148.〕。
1978年、フランスのアペリーは全ての立方数逆数
:\frac +\frac +\frac +\frac +\cdots
が無理数であることを示した(アペリーの定理を参照)。この値は、リーマンゼータ関数
:\zeta (s)=\frac +\frac +\frac +\frac +\cdots
の ''s'' = 3 における値 ''ζ''(3) である。同様の手法で、彼は全ての平方数の逆数和
:\frac +\frac +\frac +\frac +\cdots
すなわち ''ζ''(2) も無理数であることを示した。この極限\frac に等しい、という事実をすでにオイラーが示していたので(バーゼル問題を参照)、これはルジャンドルが示したことと同値である。すなわち、アペリーの証明は が無理数であることの別証明になっている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「円周率の無理性の証明」の詳細全文を読む



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