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円本 : ウィキペディア日本語版
円本[えんぽん]
円本(えんぽん)とは、1926年大正15年)末から改造社が刊行を始めた『現代日本文学全集』を口火に、各出版社から続々と出版された、一冊一円の全集類の俗称、総称。庶民の読書欲にこたえ、日本の出版能力を整え、また、執筆者たちをうるおした。
== 概略 ==
関東大震災は出版業界にも深い傷を残し〔pp371-374〕、その傷の中で倒産寸前だった改造社の社長山本実彦が、1926年大正15年)11月、一冊一円、薄利多売、全巻予約制、月一冊配本の『現代日本文学全集』の刊行に社運を賭け、翌月『尾崎紅葉集』を配本した。自己資金を持たぬ自転車操業的企画だったが、期待を遙かに上回る23万の応募者の予約金23万円が出版資金になり、がぜん頽勢を挽回した。
『円本』の呼び名は出版社側の命名でなく、たまたま、1925年大阪、1927年東京に登場した市内1円均一の『円タク』から、派生したと言われる。
1円は当時、大学出の初任給の約2%に相当した。それを廉価とうたえたほどに、それまでの本は高価だった。
1927年(昭和2年)前後から月に一冊ずつ配本して、1930年(昭和5年)過ぎに円本ブームは鎮静化した。解約者も出て売れ残りが投げ売りされ、余裕のない階層も『円』本を買えるようになった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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