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分数量子ホール効果 : ウィキペディア日本語版
量子ホール効果[りょうしほーるこうか]
量子ホール効果(りょうしホールこうか、):半導体絶縁体界面、半導体のヘテロ接合などで実現される、2次元電子系に対し強い磁場(強磁場)を印加すると、電子の軌道運動が量子化され、エネルギー準位が離散的な値に縮退し、ランダウ準位が形成される。ランダウ準位の状態密度は実際の試料では不純物の影響によってある程度の広がりを持つ。この時、フェルミ準位の下の電子は、波動関数が空間的に局在するようになる。これをアンダーソン局在という。
そして絶対温度がゼロ度( = 0 K)の時、この量子化された2次元電子系のホール伝導率の - 成分 は、
:\sigma_=-n\frac
となる。ここで、 は整数、 は電子の素電荷、 はプランク定数である。つまり、ホール伝導率が \tfrac の整数倍になる。これを整数量子ホール効果と言う。
この現象は、1975年安藤恒也らによる理論からの示唆があり、1980年クラウス・フォン・クリッツィングらによって初めて実験的に観測された。R_\mathrm=\tfracフォン・クリッツィング定数という。フォン・クリッツィング定数の2014年CODATA推奨値は、 である。
この整数量子ホール効果(量子化ホール抵抗を用いる)は、電気抵抗標準として決めたり、微細構造定数の決定に使われたりする。
== 分数量子ホール効果 ==
その後、試料の品質が向上するにつれて種々のヘテロ接合などに於いて2次元電子系が実現された。1982年ダニエル・ツイホルスト・ルートヴィヒ・シュテルマーアーサー・ゴサードたちはこの電子系に対して強い磁場(> 10 T)を加え、1K程度以下にまで冷却して電気抵抗率ρ''xx'' 、ρ''xy'' を測定したところ、従来の量子ホール効果(現在はこれを整数量子ホール効果と呼ぶ)で見られた、ホール抵抗率ρ''xy'' が平坦な領域(以下これをプラトーとよぶ)のほかに、新たなプラトーを発見した。そこにおける抵抗率からホール伝導率σ''xy'' を計算したところ、
:\sigma_=-\frac\cdot\frac
を得た。ここで''p'' 、''q'' は整数であり、''q'' が3以上の奇数の場合(1/3, 2/3, 1/5, 2/5, 3/5, 2/7など)を分数量子ホール効果と名づけた。
整数量子ホール効果の原因は、不純物ポテンシャルによる電子の局在化であるが、分数量子ホール効果は電子間のクーロン・ポテンシャルが不純物ポテンシャルに打ち勝つ場合に起こる。このため、分数量子ホール効果が観測されるのは、試料は不純物を極力減らし、ヘテロ接合界面が良質の試料に限られる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「量子ホール効果」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Quantum Hall effect 」があります。



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