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列車防護無線装置 : ウィキペディア日本語版
列車防護無線装置[れっしゃぼうごむせんそうち]

列車防護無線装置(れっしゃぼうごむせんそうち)とは、鉄道信号の発報信号で、鉄道において緊急時に列車から無線信号を発信し、付近を走行する列車に停止信号を現示して列車を停止させ、二次事故を防止するための装置である。単に防護無線防護無線装置と呼ばれることもある。
== 概要 ==
列車運転士が線路上で異音感知や列車分離など緊急の異常を発見した際、線路内への侵入・支障物や、人身事故や脱線などで周辺を走行する列車に緊急を知らせて停止させたい時に使用する。乗務員が乗務員室に設置されている防護無線装置のボタンを押すと、装置から非常信号を乗せた電波が発信され(発報という)、近隣で電波を受信した他の列車の防護無線装置が警報(“ピピピピ…”という警報音)を発する。
列車が走行中にこの信号を受信し、装置が鳴動した場合には、運転士は必ず列車を停止させる様に義務付けられている(必要なければ非常ブレーキは使わず普通に停車する)。乗客に対しては、車掌が車内放送で「ただいま非常停止信号を受信しました。原因を調べております」と案内する場合が多い。「非常停止信号」については「危険を知らせる信号」や「列車を緊急に停止させる信号」等と言い換えられることもある。
これにより、事故や支障の起きている現場に列車が進入するのを防ぎ、二次事故を未然に防ぐ。なお、発報した乗務員は、運転指令所等と連絡をとり、指示を受けた上で装置を復位して発報を止める。一方、信号を受信して停止した他の列車は、信号が無現示となっても直ちに運転を再開せず、以後指令所の指示を待ってから運転を再開する。
防護無線は自動列車停止装置自動列車制御装置とは違い、鳴動することで乗務員に対して列車停止の指示を現示する装置である。各種自動システムは全く関わらないので、具体的に停止させるための制動操作を行うのは運転士であり、受信したからといって自動的に列車にブレーキがかかるものではない。また、JRで導入している防護無線では、防護無線装置固有の識別番号から車両を特定することは可能だが、運行中のどの便がどこで発報したのかは直ちに分からないし、危険の原因を特定する情報なども含まれておらず、指令所からの一斉同報を待つ必要がある。
防護無線の電波が届く範囲は発報地点から半径約1 - 2km圏内とされ、この範囲では別の路線の車両も発報を受けて緊急停止する。これは路線が併走する箇所等で事故が発生した際、並走する路線を走る他の列車が事故現場に冒進するのを防ぐためである。一方で、路線が過密に入り組む大都市圏などでは、事故の発生している路線とは全く関係のない別の路線の列車にも電波が届いて運行に影響を及ぼすことがあるし、高架など見通しの良い場所で発報した場合にはより遠くまで電波が届いて想定外の広範囲に影響を及ぼすことがある。
防護無線装置の機種によっては、通常は車両より給電を受けて動作し、停電時には電源を切りかえる操作を必要とするものがある。JR福知山線脱線事故では、この操作を行わずに発報ができなかったことが明らかになり、現在は停電時でも特別な操作なしに発報ができるように改修が進められている。
2011年3月11日の東日本大震災発生時には、東北 - 関東にかけての非常に広い範囲で防護無線が扱われていたことが、YouTube等で確認できる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「列車防護無線装置」の詳細全文を読む



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