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労働改造所 : ウィキペディア日本語版
労働改造所[ろうどうかいぞう]

労働改造(ろうどうかいぞう)とは、「労働を通じて改造する」理念であり、中華人民共和国で実施されていた反革命犯及び刑事犯の矯正処遇政策である。物理的には、旧ソ連の強制収容所・グラーグに倣い造られた労働改造機関を指す。1954年に施行された「労働改造条例」で明文化された制度である。ワシントンDCの人権NPO・労改研究基金の調査によれば、中国に点在する労働改造機関の数は1000ヶ所、総収容者数は300~500万人、1949年以降、労働改造機関に収容された人の総数は4000~5000万人に上る。〔Laogai Research Fundation http://laogai.org/〕
==労働改造制度==

「労働改造」という言葉は中華民国の法律にはなく、中華人民共和国成立後に成立した概念である。中華民国34年(1945年)年に施行された「監獄行刑法」において、矯正処遇の意味で使われていたのは「教化」という言葉である。中華人民共和国成立後の1954年に施行された「労働改造条例」第一条で明記されているように、「すべての反革命犯(政治犯)とその他の刑事犯を懲罰するため、並びに犯人が労働を通じて自身を改造し、新しい人に生まれ変わるのを強制するために、本条例を制定する。」、労働改造は反革命犯及び刑事犯を懲罰、改造するための処遇措置であった。
「共産党宣言」で下記の声明がされているように、共産党の目的はプロレタリアート革命であった。「これまでの社会の歴史はすべて階級闘争の歴史である」、「われわれの時代すなわちブルジョアジーの時代の特徴は、階級対立を単純にしたことである。全社会は敵対する二大陣営にますます分裂しつつある。直接相対立する二大階級、すなわちブルジョアジーとプロレタリアートである。」、「プロレタリアートは暴力を用いてブルジョアジーを転覆し、自己の支配を確立する。」それに反する者は「反革命分子」と呼ばれた。
労働改造の主目的は、階級闘争の手段として、反革命分子、ブルジョワジーの政治思想を条例でいう「新しい人」、即ちプロレタリアート独裁に服従する人に強制的に改造することである。「労働改造は、政治思想教育と結びつかなければならない」(労働改造条例第二十五条)
改造が目的に対し、手段は労働である。マルクスはかつて「体力労働はすべての社会の病毒を防止する偉大なる消毒剤である」と述べている。〔《马克思恩格斯全集》第31卷65.马克思致恩格斯(1865年8月19日)〕労働改造によって発生した生産活動は、「労働改造生産は国家の経済建設に寄与するもので、国家の生産、建設の総合計画に含まれるべき項目である。」(労働改造条例三十条)と定められた。「改造第一、生産第二」が党の方針であったが、実際は労働改造機関は当局にとって重要な労働力供給源だった。特に建国当初の経済開発において、労働改造制度は無償の労働力を供給する重要な政策で、毛沢東時代、囚人たちは道路、水路、ダムなどのインフラ建設に駆り出された。これらのプロジェクトは無償の労働力なしに、政府の財政では到底実現できるものではなかった。〔Laogai by Kempton, Nicole (EDT)/ Richardson, Nan (EDT)/ Nath, 1-884167-77-2, 978-1-884167-77-5〕
「労働改造条例」で指定されていた労働改造機関は、看守所、監獄、労働改造管教隊、少年犯管教所である。1990年3月17日に「看守所条例」、1994年12月29日に「監獄法」が施行され、物理的には「労働改造機関」は監獄法の施行と同時に廃止され、監獄、看守所へと名称変更された。「労働改造条例」は2001年に廃止されている。
しかし政治思想の改造を目的とした労働改造の理念は依然として監獄、看守所に残存する。このことは法律上、以下の論理構造から見抜くことが可能である。「中華人民共和国はプロレタリアートが指導する労働者と農民の連盟を基礎とした人民民主独裁の社会主義国家である。社会主義制度は中華人民共和国の根本制度である。いかなる組織又は個人による社会主義制度の破壊を禁止する。」(憲法第一条)、これにより法律上、人民民主独裁(共産党政権)及び社会主義制度に異論を持ち行動を起こすことは違法行為と見なされる。「労働能力のある受刑者は、労働に参加し、教育と改造を受けなければならない」(刑法第四十六条)、刑法に盛り込まれた労働改造の理念である。「監獄は懲罰と改造の結合、及び教育と労働の結合を原則として受刑者を処遇し、受刑者を遵法の市民に改造する。」(監獄法第三条)、この場合の「遵法の市民」は無論憲法第一条を遵守することも含まれ、労働改造条例で示す「新しい人」に近似する性質を持つ。
「看守所」は主に刑事被疑者・被告人、有期刑一年以内あるいは残刑期間が一年以内の受刑者を収容する刑事施設である。法律上、看守所は懲役を科されていない刑事被疑者・被告人に対し、思想改造を目的とした労働を割り当てることが可能である。「看守所は、刑事被疑者・被告人に対し法律、道徳、時勢及び労働教育を実施する。」(看守所条例第三十三条)また、1991年に公布された「看守所条約実施方法」では、「看守所は円滑に刑事被疑者・被告人に対し改造業務を遂行できるように、教育制度を確立しなければならない。」(第四十条)、「刑事被疑者・被告人の思想改造を促進するために、安全を保障することができ、かつ捜査、起訴、審判に影響を及ぼさない前提で、看守所は刑事被疑者・被告人に対して適度な労働を割り当てることができる。」(第四十三条)と明記されている。被疑者、被告人に対する労働強要は推定無罪の原則に反するものである。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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