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社会保険労務士(しゃかいほけんろうむし)は、労働関連法令や社会保障法令に基づく書類等の作成代行等を行い、また企業を経営して行く上での労務管理や社会保険に関する相談・指導を行う事を職業とする為の資格、およびそれを職業とする者をいう。 略称として「社労士」や「労務士」とも呼ばれる。ローマ字で社会保険(Syakaihoken)労務士(Roumushi)の各頭文字を取って「SR」とも置き換えられる。社会保険労務士の徽章は、菊の花弁の中央にSRの文字が付されている。素材は、純銀の台座に純金貼りが施されており、中央SR部はプラチナ製。主務官庁は厚生労働省で、もともと旧厚生省と旧労働省の共管とされていた。 *社会保険労務士法については、以下では条数のみ記す。 == 業務 == ; 概要 社会保険労務士は、次の各号に掲げる事務を行うことを業とする(第2条)。 # 労働及び社会保険に関する諸法令に基づき行政機関(主に労働基準監督署、公共職業安定所(ハローワーク)、年金事務所等)に提出する申請書、届出書、報告書、審査請求書、異議申立書、再審査請求書その他の書類を作成すること、またこれらの申請書等の提出に関する手続を代行すること # * 「諸法令」に、各種共済組合法は含まれない。 # 労働社会保険諸法令に基づく申請、届出、報告、審査請求、異議申立て、再審査請求その他の事項(厚生労働省令で定めるものに限る)について、又は当該申請等に係る行政機関等の調査若しくは処分に関し当該行政機関等に対してする主張若しくは陳述(厚生労働省令で定めるものを除く。)について、代理すること # 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律6条1項の紛争調整委員会における同法5条1項のあっせんの手続及び男女雇用機会均等法18条1項、育児介護休業法52条の5第1項 及びパートタイム労働法22条1項の調停の手続について、紛争の当事者を代理すること # 地方自治法180条の2の規定に基づく都道府県知事の委任を受けて都道府県労働委員会が行う個別労働関係紛争(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律1条に規定する個別労働関係紛争(労働関係調整法第6条に規定する労働争議に当たる紛争及び特定独立行政法人等の労働関係に関する法律26条1項に規定する紛争並びに労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く。)をいう。)に関するあっせんの手続について、紛争の当事者を代理すること # 個別労働関係紛争(紛争の目的の価額が120万円を超える場合には、弁護士が同一の依頼者から受任しているものに限る)に関する民間紛争解決手続(ADR法2条1号に規定する民間紛争解決手続をいう。)であって、個別労働関係紛争の民間紛争解決手続の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として厚生労働大臣が指定するものが行うものについて、紛争の当事者を代理すること # * 3~5の手続きについて、相談に応じること、和解交渉を行うこと、和解における合意を内容とする契約を締結することを含む。 # 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録を含み、申請書等を除く)を作成すること(1.の書類を除く) # 事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述すること # *この陳述は、原則として当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなされる。またこの事務を受任しようとする場合の役務の提供については、特定商取引に関する法律が定める規制の対象外となる(平成27年3月30日基発0330第3号)。 # 事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること ただし、これらの事務を行うことが他の法律において制限されている事務並びに労働社会保険諸法令に基づく療養の給付及びこれに相当する給付の費用についてこれらの給付を担当する者のなす請求に関する事務(レセプトの作成等)は含まれない。 1~7の業務は、社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者が原則として他人の求めに応じて報酬を得て行ってはならない。さらに、3~5の業務(紛争解決手続代理業務)については、特定社会保険労務士でなければ行うことができない。なお8の業務は業務制限の対象外であるので、社会保険労務士でない者であっても、他人の求めに応じ報酬を得て業として行うことができる(第27条)。例えば、具体的な個別労働関係紛争について、労働者があっせん等によって紛争を解決する方針を固める以前にあっせん制度等を説明することは、8に該当するので特定社会保険労務士でなくても行えるが、あっせん等により紛争を解決する方針を固めた以降に行われる相談は、紛争解決手続代理業務に該当するので、たとえ受任前であっても特定社会保険労務士のみが行うことができる(平成19年3月26日基発0326009号・庁文発0326011号)。 ; 詳細 *企業からの依頼による、従業員に対する上記概要範囲における事務処理 *人事雇用等、労務に関する相談・指導 *給与計算 *労働災害(業務災害・通勤災害)における申請等の事務手続き *社会保険における私傷病、出産、死亡等に関する申請等の事務手続き *雇用保険における申請等の事務手続き *労働保険料の加入手続き、年度更新に伴う算定納付諸手続き *社会保険料を確定させる算定基礎届の作成 *労働者名簿及び賃金台帳など法定帳簿の調製、就業規則等の作成・改訂 *賃金や退職金、企業年金制度の構築 *各種助成金の相談、申請 *労働安全衛生に関する相談、指導 *社員研修、社員教育の実施 *メンタルヘルス対策 *企業の作成した申請書等(施行規則第13条1項に掲げるものに限る)の妥当性、適法性の審査 *労働に伴う相談、労使交渉等の紛争代理(特定社会保険労務士としての付記が前提) *労働争議時の団体交渉において一方の代理人となることは、たとえ特定社会保険労務士であっても業務として行うことはできない。 *個人からの依頼による、上記概要範囲における事務処理 *年金に伴う相談、申請代行(老齢、遺族、障害、離婚時分割等) *医療保険各法、介護保険法等に基づく相談、申請代行(傷病手当金、高額療養費、要介護認定等) *労働に伴う相談、労使交渉等の紛争代理(特定社会保険労務士としての付記が前提) *行政協力という名目での下記 厚生労働省管轄下の公的機関での相談業務 *労働基準監督署、公共職業安定所(ハローワーク)、年金事務所、街角の年金相談センター他 ;業務形態 社会保険労務士の業務は、主として企業との顧問契約にある。企業の人事・労務諸問題に関する相談、社会保険・労働保険諸手続きの事務代理・提出代行、給与計算などが主軸となる。又、ファイナンシャル・プランナー資格やDCプランナー、DCアドバイザー資格、モーゲージプランナー資格を併せ持ち、年金・資産運用に関するコンサルタント業を主とする実務家や税理士、中小企業診断士、行政書士といった他士業資格を保有した上で多角的な活動を行う実務家もいる。最近では、労働トラブルの増加に伴い「個別労働紛争の解決の促進に関する法律」に基づき、当事者を代理して具体的な解決策を提案するなど労使双方の諍いの解決に尽力する社会保険労務士(裁判外紛争解決手続制度の代理業務を行う場合は、特定社会保険労務士としての付記が必要)も増えている。 *社会保険労務士は、常に品位を保持し、法令実務に精通し、公正な立場で誠実に業務を行わなければならない(第1条の2)。また、所属社会保険労務士会の会則を守らなければならない(第25条の30)。 *社会保険労務士は、社会保険労務士会及び全国社会保険労務士会連合会(連合会)が行う研修を受け、その資質の向上を図るよう努めなければならない(第16条の3)。なお法により努力義務が課せられている研修は「社会保険労務士会」及び「連合会」が行う研修のみであるので、行政機関その他各種団体が行う研修についてまで努力義務が課せられているのではない。 *社会保険労務士は、国又は地方公共団体の公務員として職務上取り扱った事件及び仲裁手続により仲裁人として取り扱った事件については、その業務を行ってはならない(第22条)。 *社会保険労務士又は社会保険労務士法人は、事務を受任しようとする場合には、あらかじめ依頼者に対し報酬額の算定の方法その他の報酬の基準を示さなければならない(施行規則第12条の10)。報酬は、規制緩和の一環として他士業者と共に自由化され、社会保険労務士の事務所ごとに異なる。依頼の誘致に際し、業務内容・報酬その他重要事項について不実を告げ、又は故意に事実を告げない行為その他不正不当行為をしてはならない。 *国家資格者である社会保険労務士は、社会保険労務士証票、都道府県社会保険労務士会会員証及び徽章など身分を証明するものを所持している。 *社会保険労務士、又は社会保険労務士法人でないものは、これらの名称及び類似する名称を用いることを禁じられている(第26条)。しかし、個人事務所には、名称に関する規定がないため、社会保険労務士事務所、社労士事務所、労務管理事務所、経営相談所、オフィス、事務所、コンサルティングなど多彩である。 *社会保険労務士は、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険給付を受けること、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険料の賦課又は徴収を免れることその他労働社会保険諸法令に違反する行為について指示をし、相談に応じその他これらに類する行為をしてはならない(第15条)。 1980年8月末日の時点で行政書士であった者は、社会保険労務士の独占業務に関わる書類の作成を行うことが認められるが、提出代行(行政機関への提出を代理すること)及び事務代理(書面の内容を自らの判断で修正すること)は認められておらず、使者(行政契約の場合は代理もあり)として提出できるのみに留まる。また、特定社会保険労務士に認められる裁判外紛争解決手続業務に伴うあっせん代理も認められていない。税理士の行う付随業務(租税債務の確定に必要な社会保険労務士事務)についても、提出代行、事務代理並びあっせん代理は認められていない。 なお、アウトソーシング等を行う法人組織、経営コンサルティング会社等の社会保険労務士無資格者や、労務管理士などと称する社会保険労務士でない者が社会保険労務士業務を行えば、社会保険労務士法違反となる(第27条)。また、有資格者従業員の社会保険労務士開業登録をもって上記職務を行うアウトソーシング会社も見受けられるが、実態として指揮命令関係等が存在する場合は、「非社労士との提携の禁止」として、当該社労士は社会保険労務士法違反となる(第23条の2)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「社会保険労務士」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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