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動植綵絵 : ウィキペディア日本語版
動植綵絵[どうしょく さいえ]

動植綵絵』(どうしょく さいえ)は、近世日本画家伊藤若冲の代表作の一つ江戸時代中期にあたる宝暦7年頃(1757年)から明和3年(1766年)頃にかけての時期に制作された、30幅からなる日本画であり、植物を描いた彩色画。三の丸尚蔵館蔵。
== 概要 ==
絹本著色(けんぽんちゃくしょく)。鳳凰草花魚介類などが、さまざまな色彩と形態のアラベスクを織り成す、華麗な作品群である。綿密な写生に基づきながら、その画面にはどこか近代のシュルレアリスムにも通じる幻想的な雰囲気が漂う。また、当時の最高品質の画絹や絵具(日本で初めてベロ藍を用いた例である)を惜しみなく使用したため、200年以上たった現在でも保存状態が良く、褪色も少ない〔現在制作しようとすると、材料費だけで1500万ほどの費用がかかると試算されている(「小学館創業九十周年記念企画『日本美術全集』スペシャル対談 狩野博幸VS山下裕二」『本の窓』 小学館、2013年2月号、p.6)。〕。『動植綵絵』は『釈迦三尊図』(絹本着色、三幅対)と共に、両親と弟、そして若冲自身の永代供養を願って相国寺寄進された。『動植綵絵』の名前は、この時若冲自身が書いた寄進状の中で『動植綵絵』と記していることに由来する。若冲は「山川草木悉皆仏性」の思想を、観音経にある「三十三応身」になぞらえて描き出したと考えられる〔展覧会図録 『若冲展』 p.3〕。
相国寺では毎年6月17日に厳修される「観音懺法会」の折に、これら33幅を掛けて参拝者に一般公開し、参道は出店が立ち並ぶほど賑わったという。明治22年(1889年)3月『釈迦三尊図』だけは寺に残し、若冲の寄進状と売茶翁の一行書と共に明治天皇に献納された。この時の下賜金1万円のおかげで、相国寺は廃仏毀釈の波で窮乏した時期でも1万8千坪の敷地を維持できた。皇室御物となった『動植綵絵』は、重要な賓客を迎える際の装飾としてその都度使用され、『動植綵絵』の力強い描線と濃彩は明治宮殿の洋風の内装とも好く調和したという〔太田彩 「「動植綵絵」─佛の荘厳画としての若冲の思い─」、展覧会図録 『若冲展』収録〕。現在は宮内庁が管理している。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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