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動物漫画[どうぶつまんが]
動物漫画(どうぶつまんが)は、日本における漫画のジャンルの一つで、人間以外の動物を主題にした漫画を指す事が多い。また、動物漫画であるか否かに明確な基準は無く、漫画作品や漫画家の宣伝文や話者の恣意的な分類として使用されることが多い。昆虫(虫)を題材とした動物漫画の場合は昆虫漫画(こんちゅうまんが)と称される。 == 概説 == 動物漫画は登場キャラクターとして、動物が重要な位置を占め、主題となっている漫画である。ただし、その在り方には様々なものがある。登場するのが全て動物である作品、人間が中心ではあるが、動物の出番が大きく、大事な役割をはたしている作品など、かなりの幅がある。 1958年(昭和33年)に刊行された『ジャングル大帝』第3巻の巻末で、手塚治虫は、動物漫画はおおよそ2つのパターンに分けられると分析している。1つは「デフォルメされて人間の姿でかかれるもの」、もう1つが「動物がそのままの姿であらわれるもの」である〔「動物マンガについて」『手塚治虫の動物王国』p.2-5。〕。また世界観においては、動物の世界を主軸に描く作品と、人間世界の中で動物との交流を描く作品とに大別されるとしている。前者の舞台設定では、動物たちが言葉を話し、そしてその言語は動物の種類(哺乳類、昆虫、魚など)を問わず共通であり意思疎通ができることが基本である。後者では、人間のペットや家畜として描かれるものと、主に幼児を対象とした作品に多く見られる人間と対等の友達として描かれるものがある。 動物漫画が最も盛んな国はアメリカである。「ミッキーマウス」などのディズニー作品は、1930年代(昭和初期)にトーキーによって世界に広まり動物漫画隆盛の中心的な役割を果たした。対してヨーロッパの動物漫画は長い歴史に裏打ちされた童話に近い作品が多く、楽天的な要素が強いアメリカの動物漫画と比べ、叙情詩的な味わいや人生批判を絡めたものが多いのが特徴である。日本の動物漫画は、古くは『鳥獣戯画』があるほか、戦前の『のらくろ』、戦後の『ジャングル大帝』『シートン動物記(白土三平)』などが広く知られている。しかしストーリー漫画の急速な成長とともに日本の動物漫画の描き手は減少していく。1970年代後半まで描き続けた代表的な漫画家は手塚治虫のみと言われるように〔小林準治「あとがき」『手塚治虫の動物王国』p.185-p.186。〕、目立った作品はその後なかなか生まれることがなかった。1980年代になってようやく、少年漫画から異色の動物漫画『銀牙 -流れ星 銀-』〔『現代漫画博物館』p.40、p.52、p.78、P.258、P.289。〕、少女漫画から動物コメディー漫画の代表作『動物のお医者さん』〔が相次いで登場した。 動物漫画の表現手法の基本は、描かれる動物の特性を生かしたストーリーである。「犬のおまわりさん」のように、犬の習性や特徴を生かしたキャラクター設定をする方法などは最も簡単な形といえる。また、ジャングルなどの生息地域の特性などや人間との関係などから物語を紡ぐ手法もある。動物漫画には、動物を擬人化することで風刺や思想をデフォルメして描写できるという利点もあるが、それと共に人間と動物が会話ができる「夢物語」を描くことができる点も魅力の1つである。その他にも動物漫画には多彩な表現手法があり、「フィリックス」の作者として知られるアメリカの漫画家パット・サリバンは「マンガのうち動物ものは一番むずかしく、動物マンガを描ける人は、どんなマンガでもこなせる」と語っている。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「動物漫画」の詳細全文を読む
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