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今日では、新しく化学物質の和名をつける場合、学術的には化学構造に基づいてIUPAC命名法に従って英語名を与え、これを日本化学会化合物命名小委員会が制定する命名規則〔日本化学会標準化専門委員会 化合物命名小委員会 編『化合物命名法 補訂7版』, 日本化学会, 2000.〕にしたがって日本語に字訳する。ただし、IUPAC名は長く複雑で、一般には分かりにくいため、研究者や企業が自由に命名した名称が一般に通用することも多い。 一方、IUPAC命名法が広まる以前には、化学物質には多様な和名が使われており、一部は現在でも普通に使われている。IUPAC以前の化学物質の和名も大部分は外国語に由来するが、命名方法としては、原語をそのまま利用したもの、原語の意味を翻訳したもの、原語を音や綴りを字訳したものなど、多様な方法がとられている。 無機化合物は古来から顔料や漢方薬として使われていたため、「鉛丹」や「甘汞」などのように、中国などから伝来した際の漢名をそのまま、あるいは多少変更して和名とされたものも多い。 日本で考案された和名としては、江戸時代後期の蘭学者宇田川榕菴による「水素」「酸素」などが知られる。これらは原語の意味から翻訳したものである。 明治以降では、外国語名を音写して漢字名称としたものが多く用いられた。これらの多くは現在では使用されていないが、「硫酸安母紐謨」(硫酸アンモニウム)を省略した「硫安」などは現在でもよく使われている。 == 例 == 実際には純物質を示していない場合がある。外国語名の当て字を含む。 宇田川榕菴による翻訳語例 水素、ホウ素(蓬素)、炭素、窒素、酸素、フッ素(弗耳乙)、ナトリウム(曹達・ソーダ)、マグネシウム(苦土・クド)、アルミニウム(礬土・バンド)、ケイ素(珪土)、燐、硫黄、塩素、カリウム(加里・カリ)、カルシウム(加爾基・カルキ)、マンガン(満俺)、鉄(銕)、コバルト(箇抜爾多)、銅、亜鉛、ヒ素(砒素)、ストロンチウム(斯多侖知安土)、銀、錫、アンチモン(安質没尼)、バリウム(重土)、白金、金(黄金)、水銀、鉛、ビスマス(蒼鉛) 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「化学物質の和名」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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