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化学的不均衡(かがくてきふきんこう、chemical imbalance)は精神障害の原因に関する一つの仮説である。他の原因の仮説には、心理的、社会的な原因がある。 基本概念は、脳内の神経伝達物質の不均衡が精神状態の主な原因であり、これらの不均衡を正す薬物は精神状態を改善し得るというものである。この言葉は、脳化学の研究に由来する。1950年代、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)と三環系抗うつ薬がうつ病の治療に効果があると偶然発見された〔Trujillo, Keith A. Drugs and the Brain: Antidepressants 〕。 統合失調症など、他の精神的な病気の研究でも発見があった。セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど、モノアミン神経伝達物質の活動に精神的な病気との相関が見られた。この仮説はモノアミン仮説と呼ばれ、病態生理学や薬物治療の分野で25年以上研究の中心にある〔Johan A Den Boer. "Looking Beyond the Monoamine Hypothesis ," European Neurological Review, 2006;6(1):87-92.〕。また、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)などの新しい種類の薬の開発につながった〔Mental Illness - GSU Biology 4102 / 6102 〕。「モノアミン仮説」は「うつ病のモノアミン仮説」を意味する時と「統合失調症のドーパミン仮説」など他の仮説を含んだ総称として用いられる時がある。 この概念的な枠組みには科学から疑義が呈されている。仮説は単純化し過ぎで欠陥が示されているからである。しかし、薬物治療の説明の助けとする分には有用である〔。アメリカ食品医薬品局(FDA)精神薬理学諮問委員会のウェイン・グッドマン(Wayne Goodman)委員長は、彼自身の精神科の患者には使わないが、化学的不均衡説を「有用な隠喩」と述べている〔Television adverts for antidepressants cause anxiety , from ''New Scientist''. Published November 12, 2005; accessed November 17, 2007.〕。 向精神薬が化学的な異常の原因になり得ることもよく知られているが、因果関係は決まって混同される。最初の化学説が登場した頃に知られていた脳内の神経伝達物質の数は4~5種類だが、現在は100種類を越えると推定され、向精神薬がはるかに多くの神経伝達物質に作用することも明らかになっている。化学的不均衡説には無理があるが、取って代わるような仮説がないだけでなく、薬物治療の促進に都合が良いという理由でしがみつかれている〔 (翻訳書は )〕。 また、研究者が不都合な真実を語ると各方面から圧力が掛かることも指摘されている〔 (翻訳書は )〕〔 (翻訳書は )〕〔 (翻訳書は )〕。主に製薬業界が普及を推進しており、周辺業界に様々な働きかけを行っている。化学的不均衡の全体像を把握するためには、周辺事情の理解も必要である〔 (翻訳書は )〕。 ==うつ病のモノアミン仮説== うつ病のモノアミン仮説は生物学的な仮説であり、脳内のモノアミン神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン等)の減少によって起こるとされる。しかし、今日に至るまで直接的な証拠は見つかっていない。確証を得られるような発見がなく、また、発見の多くは仮説に矛盾するか対立するものである。健康な人々に対して、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンを実験的に減少させても、全く気分に影響しない〔 (翻訳書は )〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「化学的不均衡」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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