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走化性[そうかせい] 走化性(そうかせい、英:chemotaxis)とは、生物体(単一の細胞や多細胞の生物体を問わず、細胞や細菌など)の周囲に存在する特定の化学物質の濃度勾配に対して方向性を持った行動を起こす現象のことであり、化学走性(かがくそうせい)ともいう。 この現象はたとえば細菌がブドウ糖のような栄養分子の濃度勾配のもっとも大きな方向に向かって移動するために、あるいはフェノールのような毒性物質から逃げるために重要である。多細胞生物でも走化性は通常の生命活動においてだけでなく、その生命の初期(たとえば受精の際の精子の卵への運動)やそれに続く諸段階(神経細胞やリンパ球の遊走など)にも必須の性質である。しかしがんの転移では、動物の走化性を起こす機構がくずれることもわかっている。 対象となる化学物質の濃度勾配に対し、それが高い方向へ運動することを「正の走化性」とよび、その逆への運動は「負の走化性」とよばれる。 == 走化性研究の歴史 ==
好中球は人体の細菌感染に対する最初の防御線である。切り傷や擦り傷が生じると、好中球は付近の血管から外に出て細菌が産生する化学物質を認識し、その「においの方向」へと遊走する。この好中球はある種の細菌が産生するペプチド鎖FMLP(Nホルミルメチオニルロイシルフェニルアラニン)の濃度勾配にしたがって並んでいたのである。細胞遊走はすでに顕微鏡が発明された当初から知られていた(レーウェンフック)が、最初の学術的な記述は細菌についてT.W.エンゲルマン(:en:Theodor Wilhelm Engelmann)(1881)およびW.F.プフェファー(:en:Wilhelm Pfeffer)(1884)に、繊毛虫についてH.S.イェニングス(:en:Herbert Spencer Jennings) (1906)によって行われた。ノーベル医学・生理学賞を受賞したメチニコフも、(受賞研究である)食作用の最初の段階としての走化性について研究を行い、この分野に貢献している。 1930年代には生物学や臨床病理学において、走化性の重要性が広く受け入れられるようになった。 この現象に関する基本的な定義のほとんどもこの時期に作られている。走化性分析法(ケモタクシスアッセイ)の質的管理の上で最も重要な部分は、1950年代にヘンリー・ハリスによって記述された。1960年代および70年代には細胞生物学と生化学で革命的発展があり、さまざまな新しい技術によって走化性応答細胞の遊走の様子や、その際走化性活動にかかわる細胞よりも小さなレベルの部分まで研究が可能となった。ジュリアス・アドラーの先駆的業績に、走化性にかかわる細菌の細胞内シグナル伝達過程全体を理解する上での重要な転機が描かれている。 2006年11月3日にケンブリッジ大学のデニス・ブレイ(:en:Dennis Bray)は大腸菌の走化性に関する研究でマイクロソフト賞(:en:Microsoft Award)を受賞している〔http://research.microsoft.com/displayArticle.aspx?id=1572 retrieved November 6, 2006〕〔http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6113522.stm retrieved November 6, 2006〕。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「走化性」の詳細全文を読む
英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Chemotaxis 」があります。
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