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十六歳の日記 : ウィキペディア日本語版
十六歳の日記[じゅうろくさいのにっき]

十六歳の日記』(じゅうろくさいのにっき)は、川端康成の短編実録小説〔福田清人編・板垣信著『川端康成 人と作品20』(センチュリーブックス/清水書院、1969年)20頁。113-118頁〕。川端が数え年16歳の時、寝たきりの祖父の病状を写実的に記録した日記である〔。川端が少年期に書いた最も古い執筆で、実質的な川端の処女作とされている〔川端康成「あとがき二」(『川端康成全集第2巻』)(新潮社、1948年)〕〔小菅健一「『十六歳の日記』試論:〈処女作群›論の前提として(第2部)」(山梨英和短期大学、1996年12月)〕〔〔川端は『十六歳の日記』、『招魂祭一景』、『ちよ』を自身の処女作としている。〕。執筆から10年後に川端の伯父から発見され、川端本人による注釈や補足、あとがきが数え年27歳の時点で付記され、作品として発表された〔川端康成「あとがき」(「十七歳の日記」〈のち「十六歳の日記」〉)(文藝春秋 1925年8月-9月号に掲載)。文庫版『伊豆の踊子』(集英社文庫、1977年。改版1993年)所収。〕〔。を間近にひかえて日に日に弱ってゆく最後の肉親である祖父への少年らしい愛情と死への嫌悪が描かれ、非凡な川端少年の文学者的才覚や、川端文学の表現方法の萌芽が垣間見られる作品である〔奥野健男「鮮やかな感覚表現」(文庫版『伊豆の踊子』)(集英社文庫、1977年。改版1993年)〕〔立原正秋「川端文学のエロティシズム」(新潮 1972年6月号に掲載)〕〔。
== 発表経過 ==
1925年(大正14年)、雑誌『文藝春秋』8月号(第3年第8号)に「十七歳の日記」、9月号(第3年第9号)に「続十七歳の日記」として連載された。以上が「十六歳の日記」と改題され、1927年(昭和2年)3月に金星堂より刊行の『伊豆の踊子』に収録された〔「解題」(『川端康成全集第2巻』)(新潮社、1980年)〕〔羽鳥徹哉「『川端康成』編 解説」『作家の自伝15 川端康成』(日本図書センター、1994年)〕。
その後1948年(昭和23年)8月に新潮社より刊行の『川端康成全集第2巻』に収録される際に、「あとがき二」が加えられた〔。文庫版は集英社文庫の『伊豆の踊子』をはじめ、岩波文庫講談社文芸文庫に収録されている。翻訳版はJ. Martin Holman訳(英題:Diary of My Sixteenth Year)で行われている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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