|
南関東ガス田(みなみかんとうガスでん)は、千葉県を中心とした南関東一帯に分布する日本最大の水溶性天然ガス田〔600年分の埋蔵量 、関東天然瓦斯開発株式会社〕。 水溶性天然ガスとは地下(地層)で地下水に溶解しているが、圧力が解放された地表では水から分離して気体になるガスのことで、主成分は都市ガスと同じ火山ガスのメタン(水素炭素)であり、一部は地層中で微生物により生成されていると見られる。性質はメタンガスと同じで差異が無いため、メタンガスと同様に扱われる。 第二次世界大戦中の日本は、帝国石油や日本天然ガスなどの企業が南関東ガス田から採掘したメタンガスからガソリンや航空燃料を生成し、軍や民間に供給していた。 == 概要 == 千葉県を中心に茨城県・埼玉県・東京都・神奈川県の一都四県に及び、鉱床面積は 約4,300 km²〔ヨウ素が近くで採れるんだって-マイタウン千葉 、朝日新聞デジタル、2012年2月28日〕、埋蔵量は7,360億m³〔施設整備・管理のための天然ガス対策ガイドブック、91頁〕、可採埋蔵量は 3,685億 m³と推定され〔〔、日本国内で確認済みの天然ガス埋蔵量の9割を占める〔関東平野南部の地下に埋蔵される天然ガス 、独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センター、2007年6月〕。東京での生産も行われていたが、ガス採掘に伴う地下水汲み上げ(揚水)が地盤沈下を招いたことから採掘は規制され、現在は千葉県の茂原地区を中心とする九十九里浜沿岸部が最大の供給地区。地元では「上(うわ)ガス」〔房総半島 ガスの里 、読売新聞、2009年1月14日〕「野ガス」と呼ばれている〔交番トイレ爆発! 音もなく忍び寄る「野ガス」の恐怖 - やまと新聞社 2010年3月15日〕。関東天然瓦斯開発は茂原地区を鉱区として持ち、その埋蔵量は 1,000億 m³ と推定される〔。 ガスは鹹水(かん水)と呼ばれる地下水に含まれている。鹹水は化石海水が起源とされており、海水に似た成分だが、海水の2,000倍ものヨウ素を含んでいる。これだけ高濃度の濃縮ヨウ素が存在する場所は世界的にも珍しく、日本はチリに次いで世界第2位のヨウ素産出国となっている〔ヨウ素とは 、株式会社東邦アーステック〕。 地下において高い圧力下にある場合はメタンは地下水に溶けているが、大気圧のもとでは水にほとんど溶けないことから、地下水の汲み上げを行うとメタンガスが自ら分離して発生することとなる。南関東ガス田は他の水溶性ガス田に比べて鹹水に溶けているメタンガス濃度が99%と非常に高いのが特徴で、単なる化石海水ではなくメタンハイドレートを起源とするなどの説もある〔名取博夫「茂原型天然ガス鉱床はメタンハイドレート起源か 」『地質ニュース』510号、1997年2月、59-66頁〕。 近隣の多くの自治体が条例などで無許可でのガス利用を禁じているため、個人が勝手に燃料として利用できず、地元の都市ガス会社が精製した天然ガスを各家庭が利用している。ただし、千葉県内を中心に旧家等で条例制定以前から天然ガスを利用している家庭(約300世帯)は例外的にガス利用が認められている場合がある〔〔自宅の庭にガス田がある生活 デイリーポータルZ 2013年11月27日〕。しかし、茂原市周辺では、2011年の東日本大震災の前からガスが出にくくなったことに加え、メンテナンスの手間も相まって、現在では利用を止める家庭が増えている〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「南関東ガス田」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|