|
厚生年金(こうせいねんきん)とは、厚生年金保険法等に基づき、主として日本の労働者が加入する公的年金制度である。厚生年金は、基礎年金たる国民年金(1階部分)にさらに上乗せして支給される(2階部分)ものであり、その保険料の一部は、自動的に国民年金へ拠出されている。したがって一般的には、厚生年金加入者は、国民年金にも自動的に加入していることになる(国民年金第2号被保険者となる)〔国民年金と同趣旨の規定が厚生年金についても置かれている(財政の均衡、財政の現況と見通しの作成、積立金の運用、年金原簿、年金請求手続き、併給調整、受給権の保護、給付制限等)。〕。厚生年金基金等の企業年金(3階部分)は、対象者についてさらに上乗せする制度である。 *厚生年金保険法について、以下では条数のみ記す。 == 目的・管掌 == 厚生年金保険は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする(第1条)。健康保険とは異なり業務上・通勤途上の災害によるものをも給付対象とするが労働者災害補償保険による給付との間に調整がある。 「厚生年金保険は、政府が、管掌する」と定められ(第2条)、厚生労働大臣がその責任者となるが、実際の運営事務のほとんどは日本年金機構(以下、機構と略する)に委任・委託されている。また、厚生年金基金に係る権限、機構が滞納処分を行う場合の認可等については地方厚生局長等に委任されている。なお、厚生年金積立金の運用は、特別会計積立金(従来の積立金)は年金積立金管理運用独立行政法人が、実施機関積立金(共済年金からの移行部分)は各実施機関が 行っている。 2015年(平成27年)10月より厚生年金と共済年金とが統合された(被用者年金一元化)ことにより、各被保険者区分ごとの資格、標準報酬、事業所および被保険者期間、それぞれの被保険者期間に基づく保険給付、当該保険給付の受給権者、それぞれの被保険者に係る基礎年金拠出金の負担又は納付、それぞれの被保険者期間に係る保険料等の徴収金ならびにそれぞれの被保険者の保険料に係る運用に関する事務は、厚生年金被保険者の種別に応じて、それぞれの実施機関が行うこととなった(第2条の5)。 *第1号厚生年金被保険者・・厚生労働大臣 *第2号厚生年金被保険者・・国家公務員共済組合及び国家公務員共済組合連合会 *第3号厚生年金被保険者・・地方公務員共済組合、全国市町村職員共済組合連合会及び地方公務員共済組合連合会 *第4号厚生年金被保険者・・日本私立学校振興・共済事業団 実施機関は被保険者に関する原簿(厚生年金原簿)を備え、これに被保険者の氏名、標準報酬その他主務省令で定める事項を記載する(第28条)。実施機関は被保険者の利便性向上のため、政令で定めるところにより他の実施機関の処理する事務の一部を行う(第100条の3の2)。これに伴い、一部の届出等を除き、各実施機関で統一した様式を使用し、どの実施機関においても受付及び必要となる審査を行うこととする(平成27年9月30日年管管発0930第13号)。 厚生年金保険の加入者は、2012年(平成24年)度末現在で3,472万人(男性2,228万人、女性1,244万人)であり、これは国民年金第1号被保険者(1,864万人)と第3号被保険者(960万人)の合計より多い。また共済組合員(440万人)も合わせた第2号被保険者の総数は3,912万人となっている〔厚生労働省年金局「平成24年度厚生年金保険・国民年金事業の概要」 2013年(平成25年)12月〕。厚生年金積立金は2013年(平成25年)度末の時価ベースで123.6兆円であり、国民年金積立金8.4兆円と合わせた132兆円が一体として運用されている〔厚生労働省年金局「平成25年度厚生年金・国民年金の収支決算の概要」 2014年(平成26年)8月〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「厚生年金」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|