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原子力損害賠償支援機構 : ウィキペディア日本語版
原子力損害賠償・廃炉等支援機構[げんしりょくそんがいばいしょう はいろとうしえんきこう]

原子力損害賠償・廃炉等支援機構(げんしりょくそんがいばいしょう・はいろとうしえんきこう、Nuclear Damage Compensation and Decommissioning Facilitation Corporation)は、2011年3月の福島第一原子力発電所事故に伴って官民共同出資で設立された、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成23年法律第94号、旧:原子力損害賠償支援機構法)に基づく認可法人
== 概要 ==
原子力損害の賠償に関する法律が定める賠償措置額を超える原子力損害が生じた場合において「原子力事業者が損害を賠償するために必要な資金の交付その他の業務を行うことにより、原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施を確保するとともに電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保を図り、もって国民生活の安定向上および国民経済の健全な発展に資することを目的」(設立根拠法第1条)に、2011年9月に原子力損害賠償機構(Nuclear Damage Liability Facilitation Fund)として設立された。
官民共同出資(資本金: 政府70億円、原子力事業者等12社70億円、計140億円)で設立されているが、設立根拠法により理事長と監事の任命権は政府が有しており、運営委員、廃炉等技術委員、副理事長および理事の任命や業務計画、予算、資金計画などには政府の認可が必要である。また、機構の業務に関して政府は監督上必要な命令をすることが出来るとされている。当機構が福島第一原子力発電所事故により生じた損害の賠償のために東京電力に交付する資金(特別資金援助、2014年1月までで4兆円以上)は、日本国政府が交付(交付国債の償還)もしくは政府保証により民間から調達したもの(シンジケートローンまたは政府保証債券の発行)である。当機構は、東京電力が福島第一原発事故の被害者に損害賠償する資金を国が肩代わりするために設置された機関といえる。
2012年7月には、東京電力が発行した優先株式を引き受けるかたちで、同社に対して1兆円を出資〔東京電力株式会社の株式の引受けについて 〕。議決権ベースで過半数強を有する筆頭株主(支配株主)となっている。これにより、東京電力は当機構を介して実質国有化されている。
2014年2月、政府は東電福島第一原発の廃炉や汚染水対策への国の関与拡大を決定。設立根拠法の改正により、原子力事業者が設置した発電用原子炉施設又は実用再処理施設が特定原子力施設として指定された場合において「原子力事業者が廃炉等を実施するために必要な技術に関する研究及び開発、助言、指導及び勧告その他の業務を行うことにより、廃炉等の適正かつ着実な実施の確保」を図ることが機構の目的に加えられた。同年8月18日、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に改組、廃炉等技術委員会が新設された〔〕。
* 所在地:
 * 本部:東京都港区虎ノ門二丁目2-5 共同通信会館5階
 * 福島事務所:福島県郡山市駅前一丁目15-6 明治安田生命ビル1階
 * 福島第一原子力発電所現地事務所:福島県双葉郡楢葉町大字山田岡字美シ森8-57
* 理事長:杉山武彦 - 前一橋大学学長、一橋大学名誉教授、成城大学社会イノベーション学部教授
* 副理事長:山名元 - 京都大学原子炉実験所教授、前技術研究組合国際廃炉研究開発機構理事長
* 理事
 *野田健 - 元警察官僚、前内閣危機管理監、元警視総監、前公益財団法人公共政策調査会理事長
 *池田篤彦 - 財務官僚・審議官級、機構への役員出向
 *丸島俊介 - 弁護士、丸島俊介法律事務所所長、前日本弁護士連合会事務総長
 *藤原正彦 - 経産官僚・大臣官房参事官級、機構への役員出向
* 監事:佐藤正典 - 公認会計士、元有限責任あずさ監査法人理事長
* 運営委員会委員
 *金本良嗣 - 政策研究大学院大学副学長・教授
 *後藤高志 - 株式会社西武ホールディングス代表取締役社長
 *櫻井敬子 - 学習院大学法学部教授
 *田中知 - 東京大学大学院工学系研究科教授(原子力規制委員会委員の任命について国会の承認を受けたことに伴い2014年6月11日付で退任)
 *原田明夫(委員長) - 弁護士
 *藤川淳一 - 東レ株式会社代表取締役副社長
 *増田寛也 - 東京大学公共政策大学院客員教授、株式会社野村総合研究所顧問、元建設官僚、元岩手県知事、元総務大臣(東京電力の社外取締役に内定したことに伴い2014年3月31日付で退任〔増田寛也 運営委員会委員の退任について 〕)
 *増渕稔 - 日本証券金融株式会社代表取締役会長
 *岡本孝司 - 東京大学大学院工学系研究科教授(2014年7月25日付で就任)
 *瀬谷俊雄 - 株式会社地域経済活性化支援機構代表取締役社長(2014年7月25日付で就任)
* 廃炉等技術委員会委員
 *淺間一 - 東京大学大学院工学系研究科教授
 *大西有三 - 関西大学環境都市工学部都市システム工学科特任教授、京都大学名誉教授、元京都大学理事・副学長・工学部交通土木工学科教授
 *岡本孝司 - 東京大学大学院工学系研究科教授
 *鎌田博文 - 大成建設株式会社常務執行役員・原子力本部長
 *近藤駿介(委員長) - 東京大学名誉教授、元東京大学大学院工学系研究科教授・原子力研究総合センター長、原子力発電環境整備機構理事長、前原子力委員会委員長
 *竹内敬介 - 日揮株式会社相談役
 *杤山修 - 公益財団法人原子力安全研究協会処分システム安全研究所 所長
 *松浦祥次郎 - 独立行政法人日本原子力研究開発機構理事長
* 海外特別委員 (大臣認可は不要)
 *クリストフ・ベアール - フランス原子力・代替エネルギー庁原子力開発局長
 *ポール・ディックマン - アルゴンヌ国立研究所シニア・ポリシー・フェロー
 *マイク・ウエイトマン - 元英国原子力規制庁長官
 *ロザ・ヤング - 米国電力研究所研究開発部門役員
* 設立目的:大規模な原子力損害が発生した場合において、原子力事業者の損害賠償のために必要な資金の交付等の業務を行うことにより、原子力損害賠償の迅速かつ適切な実施及び電気の安定供給等の確保を図ることを目的として設立。
* 資本金等
 * 資本金:140億円
  * 政府出資:70億円  
  * 原子力事業者等12社:70億円
 * 負担金
  * 一般負担金(原子力事業者による積立)2011度: 815億円、2012年度: 1008億円、2013年度: 1630億円
  * 特別負担金(資金援助を受けた原子力事業者からの返済)2011年度: 0円、2012年度: 0円、2013年度: 500億円
 * 交付国債
  * 賠償のための資金交付の原資として国から交付される国債。現在、累計5兆円が交付されている。
 * 借入等
  * 市中からの政府保証付きの借り入れや政府保証債券の発行による資金調達
   * 政府保証枠は毎年度の一般会計予算総則に規定。2014年度の政府保証枠は4兆円。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」の詳細全文を読む



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