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反芳香族性 : ウィキペディア日本語版
反芳香族性[はんほうこうぞくせい]
反芳香族性(はんほうこうぞくせい、)は、π電子系中に4n個の電子が存在するためより高いエネルギーを有する環状分子の特性である。ヒュッケル則 π電子)に従い非常に安定な芳香族化合物とは異なり、反芳香族化合物は非常に不安定かつ非常に反応性が高い。反芳香族性の不安定性を避けるため、分子は形状を変化させ非平面となり、ゆえに一部のπ相互作用が壊れる。芳香族化合物に存在する反磁性環電流と対照的に、反芳香族化合物は常磁性環電流を持ち、これはNMR分光法によって観測することができる。
反芳香族化合物の例としてはペンタレンビフェニレン、シクロペンタジエンルカチオンがある。反芳香族性の原型的例であるシクロブタジエンは議論のテーマであり、一部の科学者らは反芳香族性はシクロブタジエンの不安定化に寄与する主要な因子ではないと主張している。シクロオクタテトラエンは、反芳香族性に起因する不安定化を避けるために非平面幾何構造をとる分子の例である。もし平面構造をとれば、環上に単一の8電子π系を持つことになるが、シクロオクタテトラエンは代わりに4つの個別のπ結合を持つボート形配座をとる。反芳香族化合物は短寿命の場合が多く、実験的に研究することが困難なため、反芳香族不安定化エネルギーは実験よりもシミュレーションによってモデル化されることが多い〔。
==定義==
反芳香族性に関するIUPACの基準は以下の通りである。
#分子は環状でなければならない。
#分子は平面でなければならない。
#分子は環内に完全な共役π電子系を持たなければならない。
#分子は共役π系内に4''n''π電子(''n''は任意の整数)を持たなければならない。
この4番目の基準が芳香族性と異なる。芳香族分子は共役π系に4''n''+2π電子を持ち、ゆえにヒュッケル則に従う。非芳香族化合物は環状でないか、平面でないか、環内に完全な共役π系を持たない。
平面の環系を持つことは、共役π系を作る''p''軌道間の重なりを最大するのに必須である。これが、なぜ平面の環状分子が芳香族、反芳香族分子の両方の鍵となる特徴であるかを説明する。しかしながら、現実には、その構造を単に見て分子が完全に共役しているかどうかを決定するのは困難である。時に、分子は歪みを和らげるために変形し、この変形により共役が損われる可能性がある。ゆえに、ある分子が本当に反芳香族かどうかを決定するためには更なる努力が必要となる。
反芳香族化合物の反芳香族性は動力学的にや熱力学的に証明できる。後で述べるように、反芳香族化合物は例外的に高い反応性を有する。反芳香族化合物は環状共役π電子系のエネルギーを測定することによって熱力学的に評価することができる。反芳香族化合物では、分子の共役エネルギーの量が適切な対照化合物よりも顕著に高くなる。
現実には、反芳香族であると断言する前に反芳香族の可能性がある化合物の構造を徹底的に解析することが薦められる。問題になっている分子の実験的に決定された構造が存在しない場合は、計算解析を行わなければならない。対称平面配座からの変形を評価するために様々な幾何構造について分子のポテンシャルエネルギーを綿密に調べなければならない〔。論文である分子が反芳香族であると発表されたが実際には違っていた複数の例が過去にあるため、このような手順が推奨される。これらの分子で最も有名(かつ激しく議論された)なのはシクロブタジエンである。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「反芳香族性」の詳細全文を読む



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