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吉川本源氏物語[きっかわほんげんじものがたり]
吉川本源氏物語(きっかわほんげんじものがたり)または吉川家本源氏物語(きっかわけほんげんじものがたり)とは、源氏物語の写本の一つ。元岩国藩主吉川家に伝来したことからこの名称で呼ばれ、現在はいずれも岩国市の施設に所蔵されていることから「岩国吉川家本(源氏物語)」と呼ばれることもある。以下の二つの写本が存在する。 *現在は吉川史料館に所蔵されている河内本の本文を持つ写本 *現在は岩国徴古館に所蔵されている青表紙本の本文を持つ写本 == 河内本 == 現在は山口県岩国市の吉川史料館に所蔵されている54帖の揃い本である。一部に補写と見られる巻を含むが補写の巻も含めて少なくとも室町時代以前の成立と見られる。本写本は元毛利家にあったもので、吉川広家の息子吉川広正と毛利輝元の娘「たけ」の婚儀(元和2年7月19日)の際毛利家からもたらされたものとされる〔稲賀敬二「岩国吉川家蔵源氏物語」『源氏物語の研究 成立と伝流』笠間書院、1967年(昭和42年)9月、pp.. 49-52。 〕。この写本の本文自体は河内本であり、河内本の中では尾州家本や鳳来寺本とは多くの異なりを見せるものの、御物本には近い本文であり、また耕雲本に一致する本文をとっている場合も存在する〔稲賀敬二「岩国吉川家本と耕雲本源氏物語」『源氏物語の研究 成立と伝流』笠間書院、1967年(昭和42年)9月、pp.. 139-147。 〕。本写本の本文には河内本系統の写本のなかでは平瀬本に近い部分もあり〔豊島秀範「河内本「平瀬家本」・「吉川家本」の実態―「花宴」巻―」代表者(豊島秀範)國學院大學『源氏物語の研究支援体制の組織化と本文関係資料の再検討及び新提言のための共同研究』第1号、2008年(平成20年)3月、pp.. 113-122 。 〕校訂途中を思わせる部分があったり空蝉巻の前半部分などに青表紙本を底本として書写されたのではないかと見られる部分も含まれている〔遠藤和夫「吉川史料館本源氏物語の一特徴」代表者(豊島秀範)國學院大學『源氏物語の研究支援体制の組織化と本文関係資料の再検討及び新提言のための共同研究』第1号、2008年(平成20年)3月、pp.. 123-130 。 〕。 蓬生、関屋、松風、薄雲、少女、玉鬘、夕霧が室町時代以前の補写と見られる。この補写の部分は本文が青表紙本系統で、本写本の特色である目録と勘物を持っていない〔豊島秀範「吉川家本(毛利家伝来『源氏物語』)の目録と巻末注記 -七毫源氏との比較-」代表者(豊島秀範)國學院大學『源氏物語の研究支援体制の組織化と本文関係資料の再検討及び新提言のための共同研究』第3号、2010年(平成22年)3月、pp.. 91-104 。 〕。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「吉川本源氏物語」の詳細全文を読む
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