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『吉里吉里人』(きりきりじん)は、井上ひさしの長編小説。 == 概要 == 1973年から1974年、『終末から』(筑摩書房)創刊号から第8号に一部が連載された(未完、挿絵 佐々木マキ)。1978年5月から1980年9月まで『小説新潮』に連載され、1981年8月25日、新潮社から単行本として刊行された。表紙の絵は安野光雅。1985年9月27日、新潮文庫として上・中・下巻で文庫化された〔井上ひさし『吉里吉里人〔上〕』|新潮社 〕。第33回読売文学賞、第13回星雲賞、第2回日本SF大賞を受賞した。 2013年12月6日、電子書籍版が新潮社より、上・中・下巻で配信開始された〔井上ひさし『吉里吉里人(上)』(電子書籍)|新潮社 〕。2015年3月27日には電子書籍の合本版が同社より配信開始された〔井上ひさし『吉里吉里人(上中下) 合本版』(電子書籍)|新潮社 〕。 東北地方の一寒村が日本政府に愛想を尽かし、突如「吉里吉里国」を名乗り独立を宣言する。当然日本政府は反発、これを阻止すべく策を講じるが吉里吉里側は食料やエネルギーの自給自足で足元を固め、高度な医学(当時日本で認められていなかった脳死による臓器移植を含む)や独自の金本位制、タックス・ヘイヴンといった切り札を世界各国にアピールすることで存続をはかる。その攻防を含む1日半の出来事を、全28章にわたって描写している。 また、独立により国語となった「吉里吉里語」 (東北弁、いわゆる「ズーズー弁」)の会話をルビを駆使して表記するほか、作中『吉里吉里語四時間・吉日、日吉辞典つき』という「小冊子」に「三時間目」まで紙幅を割くなど、方言・方言論が重要な役割を占めている作品でもある。 小説の舞台である吉里吉里村は、宮城県と岩手県の県境付近の東北本線沿線に位置する架空の村ということになっている。同名の地名が岩手県上閉伊郡大槌町にあるが、実在する場所の中で小説の舞台に比較的近い一関市を仮定しても、直線距離にして80km以上離れている〔「岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里1」と「一ノ関駅」との距離を2点間の直線距離がわかる距離計算サイト にて算出〕。作中内でも、山田線沿線に吉里吉里駅があることに言及している。 作者井上は1964年10月、この作品の原型となる放送劇『吉里吉里独立す』をNHKラジオ小劇場のために書いた。『吉里吉里独立す』は主題も物語の展開も小説『吉里吉里人』と同一だったが、このときは東京オリンピック開催による愛国的機運の中で不評を蒙り、担当のディレクターが左遷される結果となった。ちなみに「吉里吉里独立す」は、小説の作中に登場するNHKの報道特別番組の当初のタイトルでもある。 1980年代後半に、井上の高校の先輩である菅原文太のプロデュースによる映画化の話も進んでいたが、現在まで実現されていない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「吉里吉里人」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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