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哲学の慰め[てつがくのなぐさめ]
『哲学の慰め』()とは古代ローマの哲学者ボエティウスにより書かれた哲学書である。 ==概要== 480年にローマに貴族の家系で生まれたアンキウス・マンリウス・セヴェリヌス・ボエティウスは哲学の研究に打ち込んでプラトンやアリストテレスなどのギリシア哲学を修めていた。研究生活だけでなく、現実の政治にも参与しており、執政官の地位を獲得した後に元老院で議席を得ている。しかし反逆事件の際に政敵によって反逆罪の容疑者として疑われ、投獄されて財産没収、死刑宣告を受けた。525年に刑は執行されたが、その直前に書かれたのが本書『哲学の慰め』であった。 本書は5部構成でまとめられており、その文章は基本的に対話形式で記されている。またその対話の合い間で詩文が挟まれていることも文体の特徴である。ボエティウスはプラトンに代表されるギリシア哲学の影響を示しながら、この著作で特に倫理に関するいくつかの主題を扱っている。特に理性によって情念を乗り越え、美徳または善の概念に示される真の人間のあり方を追求する問題が取り上げられている。同時にキリスト教的な神の概念とも整合できる神学が展開されている。つまり、神の万能性を踏まえながらも、人間の意志とは必然によって拘束されたものではなく、自由でありうるという彼の主張に見られる。神の存在と人間の自由意志の関係を調和させようとしている。 ボエティウスのこの著作は中世以後にさまざまな類書をもたらし、ダンテやボッカチオにも影響を与え、活版印刷が導入されてからは各国語に翻訳されていった。1473年に不完全ではあったもののニュルンベルクからまず出版され、1491年から翌年にかけて出版された『ボエティウス著作集』に収録される。しかし初めて学術研究に利用可能な完全版が出版されたのは1871年になってからである。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「哲学の慰め」の詳細全文を読む
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