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ヘーヴァジュラ・タントラ
『ヘーヴァジュラ・タントラ』(Hevajra Tantra)とは、仏教の後期密教経典、いわゆる無上瑜伽タントラの1つ。母タントラの代表的経典。チベット仏教においては、サキャ派が所依とする。 「ヘーヴァジュラ」とは、この教典に登場する尊格の名であり、一般的には「ヘー」は呼びかけの言葉、「ヴァジュラ」は「金剛」を意味すると解釈され〔『インド後期密教〈下〉般若・母タントラ系の密教』 松長有慶 春秋社 p51〕、漢字では「呼金剛」「喜金剛」と訳される。したがって、この経典自体も『呼金剛タントラ』『喜金剛タントラ』等とも訳される。ただし、歴史的経緯から言えば、この「ヘーヴァジュラ」は、「ヘールカ」という狭義にはシヴァ神を模した尊格の1つの発展形態であり、「ヘールカ・ヴァジュラ」の略称だと解釈するのが自然である〔『インド後期密教〈下〉般若・母タントラ系の密教』 松長有慶 春秋社 p52〕。 サンスクリット原典、チベット語訳、漢訳いずれもが現存し、漢訳は宋代の法護によって10世紀後半に訳された『仏説大悲空智金剛大教王儀軌経』(大正蔵密教部第18巻No.892)がそれに相当する。 ==構成== 「三十二の儀軌から抜き出された二つの儀軌」という体裁を採っており、第一儀軌「金剛蔵の現等覚」の11章、第二儀軌「大いなるタントラ王の幻」の12章、計二儀軌23章から成る。 『秘密集会タントラ』等、他の後期密教経典と同じく、雑多な内容が未整理なまま詰め込まれている〔『インド後期密教〈下〉般若・母タントラ系の密教』 松長有慶 春秋社 p59〕。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ヘーヴァジュラ・タントラ」の詳細全文を読む
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