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営団 : ウィキペディア日本語版
営団[えいだん]

営団(えいだん)とは、1941年昭和16年)以後、近衛内閣における国家総動員体制の下、国策会社とともに誕生した「官民協力」の性格を有する、公法人でも私法人でもない中間形態の特殊法人をいう。個別に制定される特別法により設立された。
営団の語源は、経営財団を略したものである。厚生省所管の住宅営団鉄道省所管の帝都高速度交通営団(営団地下鉄)、農林水産省所管の食糧増産政策を目的とする農地開発営団(以上を便宜上、三営団と呼ぶ。以下同じ)に始まり、戦時下において他にも設立された。帝都高速度交通営団を除き、終戦後に連合国軍最高司令官総司令部 (GHQ) の方針の下で国策会社とともに廃止され、一部の業務はその後設立された行政機関としての公団に引き継がれた。唯一法人名として存続した帝都高速度交通営団も、2004年平成16年)4月1日東京地下鉄(通称・東京メトロ)の発足により消滅し、「営団」と称する法人は現存しない。
== 沿革 ==
営団が発案されたのは、住宅政策の分野からとされる。戦前の住宅政策は内務省社会局(のちの厚生省厚生労働省)が所管していたが、社会政策的あるいは後に転じて国策としての観点から住宅供給を進める必要に迫られた。その過程で住宅供給の実施主体が議論され、国策住宅会社、公共団体、公益法人、住宅組合、住宅会社などの各種の供給主体において、官民協力による住宅供給の拡充が検討された。その結果、住宅供給目的の特殊法人の設立が検討され、この結果として当時の厚生省は1940年昭和15年)7月11日、厚生省の住宅対策委員会第2回特別委員会において、厚生省住宅課から「住宅営団法案要綱」という文書が提示され、初めて行政文書において新型の法人形態である「営団」という用語が登場した。営団とは「住宅経営財団を略称したるものにして(中略)仮に名付けたるもの」という。
一方、東京の都市化による交通調整問題に端を発して設立された帝都高速度交通営団は、鉄道省における原案作成過程においては特殊法人である「帝都交通局」という名称で法案化が検討され、その後「帝都高速度交通局」法案として内閣法制局と打ち合わせが行われていた。しかし、法制局の法案審査の過程において「帝都高速度交通局」法案が「帝都高速度交通営団」法案に名称変更され、帝国議会に提出されることとなる。
1941年(昭和16年)3月の第76回帝国議会において、住宅営団法(住宅営団)、帝都高速度交通営団法(帝都高速度交通営団)、農地開発法(農地開発営団)が成立し、初めて営団が誕生した。その後、戦時体制下で各省がこの枠組みを活用し次々に設立され、商工省所管の産業設備営団重要物資管理営団交易営団、農林水産省所管の食糧配給などの食糧統制を目的とした食糧営団が設立された。また外地においても、たとえば住宅営団と同じ住宅供給機関として朝鮮住宅営団、台湾住宅営団、関東州住宅営団が設立されている。
終戦後、GHQの指令によりほとんどの営団が解散または公団へと改組された。住宅営団は廃止された例である。また帝都高速度交通営団は、その運営が戦時統制目的ではないために唯一そのまま存続され、2004年平成16年)4月1日民営化で国と東京都株式を保有する東京地下鉄(東京メトロ)となるまで、法人名での「営団」として残った。そうした経緯から一般的に「営団」といえば帝都高速度交通営団(営団地下鉄)の略称として定着している。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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