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営業キロ : ウィキペディア日本語版
営業キロ[えいぎょうきろ]
営業キロ(えいぎょうキロ)とは、鉄道路線バス等で、キロメートルを基礎としている、運賃を計算する際に使用する距離単位。または、鉄道・路線バス等の事業者が自身の営業している距離を指す。
== 設定方法 ==
一般には実際の距離(実キロと呼ぶ)を以て設定することが建前となっているが、採算の取れそうにない路線や新規に開業した路線、これから延伸を行う予定である路線などでは、割り増しのキロ程を営業キロと称するところがある。また、このようなキロ程を別な言い方をする事業者もある。
日本国有鉄道(国鉄)では、営業キロ程は「営業線基準規程」の第7条で規定があった(昭和53年10月18日衆議院運輸委員会:高木文雄国鉄総裁答弁)

第7条 (1) 営業キロ程の設定は、次の各号に掲げる基準によるものとする。
# 営業キロ程は、起点から停車場中心までの実測キロメートルによるものとし、キロメートル未満のは数については、二位〔10m単位。〕以下を四捨五入し、一位〔100m単位。〕にとどめるものとする。ただし、線路延長計画のない終端停車場にあっては、おもな線路の終端までとする。
# 停車場間の営業キロ程は、両停車場の営業キロ程の差とする。
# スイッチバック停車場を介在する停車場間の営業キロ程は、停車場本屋中心と停車場標との間の距離を加算する。
(2) 前項第一号の停車場中心は、建造物基本構造基準規程に定める停車場標の位置とする。

駅の営業キロは、前述の第7条第2項にあるように、停車場中心に置かれた停車場標の位置で決定される。停車場標は、建造物基本構造基準規程第23条で「停車場本屋の中心に最も近いキロ程10mの箇所」と設置位置が定められていた。「駅長室の中心」だと思われる向きもあるが、実際には必ずしも駅長室の位置にはない。一般には、実際に建設された距離である建設キロ(けんせつキロ)とは若干のずれが生じる。また、新幹線の場合には並行する在来線の代替駅またはそれに相当する数値をもって営業キロとすることがある。
国鉄において各駅の営業キロの決定は、本社旅客局長の決裁事項で、現場の鉄道管理局などで勝手に決定することは許されていなかった〔。
実際の距離とは違う値を使う別の例として、阪急電鉄ターミナル駅である梅田駅が、1966年(昭和41年)から1973年(昭和48年)にかけて隣駅側に移転し0.4km短縮され、営業キロ数は変更されたが、運賃計算上のキロ数は従来のまま存置されている例などもある(例として、梅田駅相川駅間の営業キロ数は9.6kmであるが、運賃は10-14kmの区分に当たる220円が適用される)。一方、逆の例として、美保飛行場(米子鬼太郎空港)の滑走路拡張に伴い滑走路を大きく迂回する形に経路変更された西日本旅客鉄道(JR西日本)境線の大篠津町-中浜間の営業キロは、実際の距離(実キロ)より短い経路変更前の営業キロを採用している。また、鉄道連絡船である宮島連絡船も実際の距離は約2kmであるが、営業キロは1.0kmに設定されている。
また、他の経路を利用した場合も運賃が同額になるようにするため、東武鉄道小泉線の館林 - 東小泉 - 太田間の営業キロは、東武伊勢崎線の館林 - 足利市 - 太田間のキロ数に合わせて調整している。大阪市営地下鉄では御堂筋線中央線のキロ数に合わせて、他線の営業キロを調節してある(他の多くの事業者では、複数の経路が考えられる区間の運賃は指定経路通りに計算、あるいは最短経路で計算のいずれかのルールを導入している)。
JR各社では、幹線地方交通線と線区を分けたことから、地方交通線に関わるこういった割増を行った数値を、換算キロ・擬制キロと称し、幹線と地方交通線にまたがる場合に使用する数値を運賃計算キロと称する(次項参照)。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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