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四輪操舵[よんりんそうだ]
四輪操舵 (よんりんそうだ、''4 Wheel Steering''、4WS)とは、自動車のステアリング機構(操舵方法)の一種。四輪自動車の全車輪に対して能動的に舵角を与えることにより、高い速度域での車両安定性を向上させる、あるいは極低速域での小回り性を向上させる方法である。三軸(六輪)以上の車両の場合、一部の車軸が操舵機構を持たないものがある。 == 概要 == 一般的な自動車では、ハンドル操作によって前輪に舵角を与えて方向転換を行うのが一般的である。このため、舵角が大きい場合には内輪差が大きくなるなどの不都合が起こる。四輪操舵方式ではハンドルによる前輪の操舵情報を後輪に対しても与えることにより、操舵時のこうした不都合を低減することを目的としている。 1971年から1972年にかけて、アポロ計画のJミッションで使われた月面車に四輪操舵システムが採用された。この場合、一方の系統が故障した場合でも、もう一方の系統で操舵できるように冗長性をもたせるためのものであった。→フォールトトレラント設計 自動車の分野では1980年代終盤、日本メーカーの乗用車においては四輪操舵を採用した車種がいくつか発売されたが、雑誌などのメディアが強く注目したものの、販売は伸び悩み、それらの次期モデルからは以下にあげる理由によって四輪操舵の採用が減少していった。その理由のひとつは、機構追加による複雑化、重量の増加と新規技術ゆえの価格上昇である。もうひとつの理由は、四輪操舵がもたらす「理想的な」挙動と一般的な二輪操舵の挙動との違いであり、四輪操舵の良さが「違和感」「クセの強さ」と認識されてしまったことである。具体的には、右左折時に運転者の予想よりも車体後部が外側に振り出す(逆相操舵)ことや逆に高速走行でほとんど回頭せずに横に動くように感じる(同相操舵)こと、車庫入れ後退時に狙った通りに車が動かないと感じることなどが挙げられる。日本のように車庫・駐車場事情がそれほど良くない場合、壁にぴったりと寄せられないことは不都合を招く場合もある。さらにはチューニングカーの世界においては重量や挙動に対する不満から4WSを取り外してしまうケースも珍しくない。主に日産車向けに、「ハイキャスキャンセラー」なるパーツも発売されている。 その後乗用車では一時採用されなくなったが、2011年12月現在においては、日産自動車が日産・スカイライン、日産・フーガで、レクサスが4代目GS〔レクサスアクティブセーフティー 〕・3代目レクサス・ISで、欧州メーカーではルノーが3代目ラグナで、またBMWが5代目7シリーズと6代目5シリーズでインテグレイテッドアクティブステアリングの名称で採用している〔【BMW 7シリーズ 新型発表】4輪操舵システムで小回りスイスイ 〕〔インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング(前後輪統合制御ステアリング・システム) 〕。いずれも後輪の操舵角を少なくしたり後輪操舵をわずかに遅らせるなどして、自然なハンドリンクになっている。また、F1など一部のモータースポーツ種目においては、四輪操舵装置が規定で禁止されているものもある。F1では1993年のベネトンB193Bなどで採用されていた。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「四輪操舵」の詳細全文を読む
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