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回折格子 : ウィキペディア日本語版
回折格子[かいせつこうし]

回折格子(かいせつこうし)とは、格子状のパターンによる回折を利用して干渉縞を作るために使用される光学素子の総称。グレーティング()とも呼ばれる。格子パターンは直線状の凹凸がマイクロメートルサイズの周期で平行に並んで構成されていることが多い。ただしその周期、材質やパターン厚(凹凸の差厚)などは用途や使用する波長域によって適宜異なる。主に物理化学分野で分光素子として用いられるものの用途は一概には言えない。
回折格子による干渉縞が見られる身近な例としては、CDが挙げられる。(後述)(ただしCDは、構造的に回折格子になっているものの、回折を利用しているわけではない)

== 概要 ==

初めて史実に登場する回折格子は18世紀のアメリカの自然科学者デビッド・リッテンハウス(David Rittenhouse)によって作られたもので、板の間に止めた2本のネジの間に髪の毛を40本/cm間隔で平行になるように張り、その髪の毛がパターンの役割を果たすというものだった。その後、これと同じ構造の回折格子が19世紀の物理学者ヨゼフ・フォン・フラウンホーファーによって金属細線を用いて製作され、多色光(単色光の対義語)がどのような波長の光から構成されているかを定量的に調べるための道具として紹介された
〔右記の論文に彼らが作ったものと同様の回折格子の写真が掲載されている。Greenslade, Thomas B., "Wire Diffraction Gratings," ''The Physics Teacher'', February 2004. Volume 42 Issue 2, pp. 76-77.
〕。
回折格子を用いて得られる効果としてわかりやすいものは、CDの読み取り面に太陽光や室内光を当てたときに虹色に輝いて見える現象である。これはプリズムに光を通したときに見られる現象と似てはいるが、プリズムでは光の屈折によって色が分離する(スペクトルが表れる)のに対し、回折格子では光の回折と干渉によってスペクトルが見えている。また、単一方向から光を入射しスクリーンにスペクトルを投影してみると、プリズムで観察されるスペクトルのパターンは単に光の波長の順に並んだものであろうが、回折格子で観察されるものはそれを周期的にくり返したような形になるはずである〔ただしこれは回折格子のパターンや周期性にもよる。〕。この分光能力により理化学機器のスペクトロメーターや光学用のモノクロメーターの構成要素として回折格子が使われることが多い。
回折格子というと線が平行に走った単純な格子状のものを連想しやすく、以上の説明もそのようなものを想定して行ってきたが、パターンの形、周期、断面形状は様々であり、材質や製造法も場合によって異なる。また、回折の起こし方にも数種類ある。分光素子としてではなく、イメージング分野で光の位相分布を画像化するために用いられることもあり、同様の分野で使用されている回折格子と類似の構造を持つ光学素子としてホログラムゾーンプレートX線顕微鏡で使用される回折レンズの一種)などがある〔分光の場合はフラウンホーファー回折を用いるが、イメージングの場合はフレネル回折を利用することが多い〕。また、加速された中性子のような波動性を持つ粒子(物質波)のための特殊な回折格子もある。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「回折格子」の詳細全文を読む



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