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団地妻 : ウィキペディア日本語版
団地妻[だんちづま]

団地妻(だんちづま、英訳例:Apartment wife)は日本の団地(企業の社宅等を含む集合住宅)に入居している主婦のことである。
現実社会における団地妻の実態については外部から窺い知ることのできない部分が多い。しかし、団地妻という形象は、実際の主婦についてよりも、主婦同士の織りなす人間関係を描いた昼ドラの定番的テーマとしてとか、ポルノ作品や官能小説などで描写される、夫の留守中に不倫するといったほぼクリシェと化したイメージのように、フィクションの世界で独特のイメージを形成している。
== 由来 ==
「団地妻」という用語自体の初出は、日活ロマンポルノの第1作・「団地妻 昼下りの情事」(1971年)である。この作品がヒットしてシリーズ化し、またフィクションのテーマとしてしばしば模倣されたために、「団地妻」という形容はすっかり淫靡なニュアンスをおびるようになり、ポルノ作品のテーマの定番となっていった。
これが生まれた背景としては当時の社会情勢がある。当時の日本は高度経済成長期であって、地方の若者は職を求めて都市部に流入し多くはサラリーマン〔当時のサラリーマンには新中間層中産階級というイメージがあり、その妻も同様であった。一億総中流も参照。〕となったが、都市部では急速な人口増加により深刻な住宅難が発生した。それを解消するため、1960年代には日本住宅公団により当時としては良質な団地が大量に供給され〔詳細は公団住宅を参照〕、そういった団地は当時の庶民にとり憧れの存在であった。こういった事情から結婚した中流サラリーマンの夫婦が最初に住むところといえば団地であった〔なお当時の住民の多くはずっと団地に住み続けるわけではなく、年を重ねて資金を貯めると新興住宅地(典型的にはニュータウン)に一戸建てを建てて移っていった。そのため住人は若く一定の収入があり、その妻にも「若奥さん」というイメージがあった。〕。そして夫は企業戦士となって猛烈に働き、妻は専業主婦〔当時は既婚女性は主婦として夫を支え家庭を切り盛りすることが求められており、パートタイマー等として外に出て働くということはあまり良く思われていなかった。なお男女雇用機会均等法が成立したのは1985年である。〕として暮らしていた。このため、「会社員の夫は仕事一筋で構ってくれない。そこで夫が仕事に出かけている昼下がり、専業主婦の若い人妻が暇と寂しさと情欲をもてあまして、団地にやってきた男と密かに不倫に走る」という設定に現実感があったのである。
その後『団地妻』シリーズは製作され続けたが、時が経つと共に住民の高齢化もあってイメージが合わなくなったのか、1979年を最後にシリーズは終わる。2012年現在においては団地の多くは老朽化し住民も高齢化しているとされ上記のイメージとは違っているが、「団地妻」という形象そのものはクリシェとして残っている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「団地妻」の詳細全文を読む



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