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固定観念 : ウィキペディア日本語版
固定観念[こていかんねん]

固定観念(こていかんねん)は、固着観念(こちゃくかんねん)とも云い、心理学の用語で、が何かの考え観念を持つとき、その考えが明らかに過ちであるか、おかしい場合で、他の人が説明や説得を行っても、あるいは状況が変わって、おかしさが明らかになっても、当人がその考えを訂正することのないような観念を指す〔大辞林〕。
妄想型精神病における妄想のようなものも固定観念であり、また呪術に基づく迷信や、思想宗教文化慣習から来る固有の信念なども、常にそうではないが、固定観念となっている場合がある。


== 概説 ==
日常的な表現で、何かの「思い込み」を人が持っているとき、これを「固定観念に捕らわれている」と表現することがあるが、厳密には言葉誤用である。例えば、「は飛ぶものである」という考えは、多くの人が持つ思いこみであるが、固定観念ではない。鳥であっても飛ぶことのない例、たとえば、ペンギンダチョウを示されると、一般に人は思い込みから脱して、「飛ばない鳥もいる」という考えになる。ペンギンやダチョウの例を出して説明してもなお、色々な理屈を述べたりして、「鳥は飛ぶ」という観念や自己の主張をどうしても変えない場合には、固定観念となっていると云える。
人は未知なことや、よく知らないことについて、実証的な根拠に乏しい「思い込み・先入観」を持っていることが多い。何らかの理由で思い込みに拘泥し、どのような例を出されても説明を受けても、思い込みを変えない場合には、この思い込みは固定観念になっている。
固定観念と混同され易いものに、ステレオタイプな考え・観念がある。ステレオタイプは元々、判で押したような考え方や類別を意味し、多くの人が同じものを共有している状態を表す。ステレオタイプな考えは、概ねにおいて単純で底が浅く、個性に欠けるのを特徴とし、タブロイド思考の一種だとも云える。
ステレオタイプが多くの人に受け入れられるのは、物事を単純化類型化するため、複雑な思考の努力や反省が不要で、流行などに乗って安易に受け入れが可能となる為である。またそのことから、ステレオタイプを脱して、実情に則した認識を持とうとすると、知的努力や検証の手順が必要になり、多くの人にとって、このような吟味作業や反省は負担が大きく、そのため一旦受け入れたステレオタイプを考え直すということが困難であり、固定観念化しやすいのである。
しかし、固定観念のなかには極めて独創的で、他の誰も思いつかないような複雑で知的にも洗練されたものがある。他方、ステレオタイプはまさに紋切り型で浅薄である。ある思い込みを持つと、その考え等に固着して、容易に考えを改めないのが固定観念で、それに対し、ステレオタイプは、考えの類型性や底の浅さなどが特徴である。
また先入観を固定観念と呼ぶ例もあるが、多くの人にとって先入観は一旦持つと改めにくいものであるため、固定観念の様相を帯びるが、これも厳密には固定観念とは概念的に別のものである。
固定観念がこのように概念的に似ているが、実質的には別のものであると考えるべき事態に対し用いられるのは、日常語における慣用的な用例が存在するためである。またその背景を考えると、「固定観念」の本来の意味を把握しないで、日常的用例における「思い込み」に依拠しているということがある。固定観念という概念言葉自体が紋切り型(ステレオタイプ)な理解をされている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「固定観念」の詳細全文を読む



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