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地獄草紙[じごくぞうし]
地獄草紙(じごくぞうし)は、地獄を描いた12世紀の絵巻物。地獄草紙と呼ばれる絵巻物は、東京国立博物館本(国宝)、奈良国立博物館本(国宝)、旧益田家本甲巻、旧益田家本乙巻の4巻があった。このうち旧益田家本乙巻は、現在では、地獄を描いたものではないとされ、「辟邪絵」(へきじゃえ)と呼ばれるようになっている。 東博本は、髪火流地獄、火末虫地獄、雲火霧地獄、雨炎火石地獄の4図がある。奈良博本は、屎糞所、函量所、鉄磑所、鶏地獄、黒雲沙、膿血所、狐狼地獄の7図がある。旧益田家本甲巻は、火象地獄、咩声地獄、飛火地獄、剥肉地獄、沸屎地獄、解身地獄、鉄山地獄の7図がある。 奈良国立博物館本、東京国立博物館本は、『餓鬼草紙』、『病草紙』、『辟邪絵』(いずれも国宝)などとともに、後白河法皇が制作させ、蓮華王院の宝蔵に納められていたことが記録されている「六道絵」の一部であったとする説がある。これらが蓮華王院の宝蔵にあったものだと断定はできないが、時代的には後白河の時代、すなわち12世紀頃の制作と考えられている。 == 奈良国立博物館本 ==
旧蔵者にちなみ「原家本」ともいう。紙本著色、巻子装。寸法は縦26.5cm、全長453.9cm〔寸法は参考文献に挙げた『日本絵巻大成』による。〕。絵7段、詞6段からなり、第7段は絵のみがあって詞を欠いている。かつては第6段も絵のみであったが、第6段の詞の部分が他所に保管されていたものが戦後発見され、巻物の所定の位置に貼り継がれている。このように、本巻は完本ではなく、大部の絵巻であったものの一部分が残ったものと推定される。本巻に描かれている地獄の様相は、『起世経』所説の十六小地獄に基づいている。巨大な鶏が口から火を吐く「鶏地獄」、鬼卒たちが亡者を鉄の臼で磨り潰している「鉄磑所」の画像がよく知られている。 『考古画譜』によると、明治20年頃までは東京・東大久保の大聖院〔新宿区新宿6丁目所在〕にあったもので、後に横浜・三渓園の創立者として知られる原富太郎(原三渓)の所有となった。7段目については詞書を欠くため、「狐狼地獄」とも「灰河地獄」とも推定されている。ボストン美術館には本巻の断簡と推定される「一銅釜」(いちどうふ)図がある。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「地獄草紙」の詳細全文を読む
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