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多剤大量処方(たざいたいりょうしょほう)とは、同じような薬効の薬が必要数を大幅に超えて多数処方され、かつ、それぞれの薬の量自体も本来必要な量より多い処方のことである。多剤併用大量処方(たざいへいようたいりょうしょほう)とも呼ばれる。 なお、どの分野で多剤処方が問題とされるのかは国により事情が異なる。たとえば米国では、polypharmacyとは「ひとりの患者に4種類以上の薬が処方されている場合、特にその患者が65歳以上の場合」としている。 日本では、高齢者の投薬については、複数の医療機関から合計10種類を超えて投薬されている患者が一定割合存在している。 == 概要 == ある県の後期高齢者医療広域連合の被保険者(75歳以上)に係る平成26年12月の診療データより集計したところ、10~14種類の薬を処方されている人が20.2%、15種類以上の薬を処方されている人が7.1%存在する。 多剤大量処方に陥る原因は、単純に薬を多く投与したほうが効果が高くなるだろうという、誤った思い込みであるとされる。そのため、薬理学的な考慮のない、危険性を無視した投薬がままみられる。 精神科医療においては、精神科医による薬理学の知識不足が多剤大量処方の原因として指摘されている〔 出版社による書籍の概要ページ に、薬物動態学を苦手とする精神科医が多い旨が書かれている。〕。そのため、これらの薬が精神疾患を完治させるわけではないにもかかわらず、目先の症状の変化に気を取られて、同じような薬を何種類も処方することになる。そして、それぞれの薬の量が限度用量以内であれば、全体として過剰投与になっているとは認識されくにい。 精神科で使用される薬には主なものとして抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬、興奮剤、抗不安薬/睡眠薬などがあるが、深く考えずにそれぞれのカテゴリーの薬を複数ずつ処方すれば、ほぼ自動的に多剤となってしまう。厚生労働省によれば、日本では諸外国より精神科での多剤投与が多く、これが、過量服薬(オーバードーズ)による自殺未遂が後を絶たない素因になっていると指摘されている。 また、中毒の危険性がある薬を処方しているにもかかわらず、用量の順守や、あるいは血液検査などの安全管理がなされていない事例もある。症例報告の記事・論文でもこのような事例は少なくなく、公的機関からも繰り返し注意喚起がなされている。また、過量服薬が自殺の手段となることへの注意喚起もなされている。 1971年の向精神薬に関する条約では、乱用されてはならない薬物が指定されている。覚醒剤(2015年現在でも医療用覚醒剤の生産・供給は続いているが、一般の臨床で用いられることはほとんどない)については付表(スケジュール)II、抗不安薬や睡眠薬として使われるバルビツール酸系薬物やベンゾジアゼピン系薬物は付表IIIおよびIVに指定されている〔向精神薬に関する条約〕。条約の規定に対応する日本の国内法は麻薬及び向精神薬取締法であり、条約の付表Iが法律上の麻薬、付表IIが第一種向精神薬、付表IIIが第二種向精神薬、付表IVが第三種向精神薬に該当する。2010年に国際麻薬統制委員会(INCB)は、日本でのベンゾジアゼピン系薬物の消費量の多さの原因に、医師による不適切な処方があると指摘している〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「多剤大量処方」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Polypharmacy 」があります。 スポンサード リンク
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