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衆人に訴える論証(しゅうじんにうったえるろんしょう、)とは、論理学における誤謬の一種であり、多くの人々が信じている、支持している、属している等の理由で、ある命題を真であると論証結論付けること。多数論証、多数派論証〔塩谷英一郎「言語学とクリティカル・シンキング-誤謬論を中心に 」帝京大学総合教育センター論集,Vol.3(2011年度)〕とも。 他にも様々な呼び方があり、英語では appeal to the masses、appeal to belief、appeal to the majority、appeal to the people、argument by consensus、bandwagon fallac、ラテン語では argumentum ad numerum(数に訴える論証)、consensus gentium(党派/一族の合意)などとも呼ばれる〔Austin Cline. Argumentum ad Populum 〕。また、様々な社会現象の元にもなっており、組織的強化、バンドワゴン効果、中国の故事「三人市虎を成す」などがある。 == 例 == この誤謬は、広く受け入れられている理論が真であることを人に納得させようとするときに利用される。 * 88% の人々が UFO を信じているのだから、UFO は実在する。 * 市民が税を払うことは市民の代表である議員が議会で決めた義務なのだから、国家は公平で公正な機関に違いない。 * 世界中の大多数が神を信じているのだから、神は実在する。 * ねえお父さん、プレステ買ってよ、友達はみんな持ってるんだよ。 また、広く受け入れられてはいない理論が偽であることを人に納得させようとするときにも利用されることがある。 * 第二次世界大戦が起きなければ、アドルフ・ヒトラーがアメリカと戦うことは無かったなどという主張は馬鹿げている。ヒトラーが世界征服を計画していたことは誰でも知っている。 倫理的な主張にも、この誤謬がよく見受けられる。 * 多くのアメリカ人はベトナム戦争が倫理的に間違いだったと考えている。だから、ベトナム戦争は倫理的に間違っていた。 * 世界のほとんどの人々が肉を食べているのだから、肉食に関する倫理的問題など存在しない。 マーケティングでもよく見受けられる。 * Brand X 掃除機はアメリカで最も売れています。あなたも Brand X 掃除機を買いましょう。 * 視聴率ナンバーワン番組、''Show X'' を見よう。 その他の例: * キリスト教信者は世界で最も多いのだから、その教義は真実に違いない。 * 「我々の社会を除く他の社会では魔法が信じられている。魔法を信じてはいけないことは無いではないか」「我々の社会を除く他の社会では、地球の周りを太陽が回っていると信じている。そんなことを多数決で決めようというのか?」 - アイザック・アシモフ * 法廷では陪審員の多数決で判決が決定される。だから、彼らは常に正しい決定を下すだろう。 * 多くの評論家がエンロンは素晴らしい経営をされた優良企業だとしている。だから、その普通株は有望な投資対象である。 * 競合するパン屋はどこもサンドイッチを売るようになったから、我が○○パン店もサンドイッチを売るべきである。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「衆人に訴える論証」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Argumentum ad populum 」があります。 スポンサード リンク
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