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大堡礁 : ウィキペディア日本語版
グレート・バリア・リーフ

グレート・バリア・リーフ()は、オーストラリア北東岸に広がる世界最大サンゴ礁地帯。漢字表記は大堡礁(だいほしょう)。南緯10度から24度にかけて広がり、2600km(1,600マイル)を超える長さに2,900以上の暗礁群〔Hopley、p. 1〕と約900の島を持ち、総面積は344,400km2以上〔344,400km2はオーストラリア海洋公園に指定された区域の面積。海洋区域面積は348,000km2グレートバリアリーフの環境ガバナンス より〕となる。地理的な位置は、クイーンズランド州沿岸の珊瑚海に存在する。
グレート・バリア・リーフは宇宙空間からも確認できるほど広大であり、生物が作り出した単一の構造物としては世界最大である。しかし、その生物とは微小なサンゴポリプ等の有機体であり、これらが数十億集まって形成しているサンゴ礁。そして、この暗礁は生物多様性を支える重要な役目を持ち、1981年に世界遺産自然遺産)に登録された〔〔。1997年、CNNはグレート・バリア・リーフをのひとつに挙げ、クイーンズランド州のナショナル・トラストは州を代表する象徴に認定した。
暗礁のかなりの部分はグレート・バリア・リーフ海洋公園に指定され、漁業や観光など人間の行為が及ぼす影響を制限している。ただし、表面流出や気象変動によるサンゴの白化現象オニヒトデの異常繁殖など、生態系に打撃を与える環境変化が発生している。これらへの対策も取り組まれており、その統合沿岸管理 (ICM) は先端的な事例にも挙げられる。
オーストラリア先住民のアボリジニトレス海峡諸島民たちは1万5千年前から〔長くグレート・バリア・リーフと共生を続け、彼らの文化や精神に多大な影響を与えてきた。ヨーロッパ人移住後は1770年のジェームズ・クックなど探検や調査が進んだ〔。1960年代にはグレート・バリア・リーフ内での石油掘削が認められたことを契機に賛否の論争が起こり、1970年代からは保護に向けた検討が始まった〔。近年は観光地としても著名となり、特にやケアンズ地区が知られる。観光収入は年10億オーストラリアドルに上り、重要な経済要素となっている〔。
== 地理と地質 ==

グレート・バリア・リーフはグレートディヴァイディング山脈地域の顕著な特徴となっている。小さなをその中に含んでいる〔''Physiographic Diagram of Australia'', A.K. Lobeck, by The Geological Press, Columbia University, New York, 1951. ... "to accompany text description and geological sections which were prepared by Joseph Gentili and R.W. Fairbridge of the 西オーストラリア大学"〕。最北端の島であるとパプアニューギニア南海岸の間のトレス海峡から、最南端のとフレーザー島の間の名も無き海峡まで続いている。レディーエリオット島はブランブル・ケイから南東に直線距離での位置にある〔。約900の島のうち、600は大陸起源、300はサンゴ礁を起源とする〔。
新生代以降、オーストラリア大陸は年間7cmの速度で北へ移動している〔。大陸東部は隆起を続けた時期があり、クイーンズランド州に長さ400kmにわたる分水界を形成した。この時期、活発な火山活動や玄武岩流が続き〔Hopley, p. 19〕、花崗岩が露出した部分によっていくつかの島が形成された〔Hopley, p. 26〕。そして構造盆地が形成されると、ここにサンゴが進出し始め、後の珊瑚海となった。しかし約2500万年前頃までクイーンズランド北部は温帯水域であったため、サンゴが繁殖するには海水は冷たかった〔Hopley、p.27〕。ここから、グレート・バリア・リーフの形成は複雑な経路をたどる。やがてクイーンズランド水域の気候熱帯へと変わるが、同時に海深の変化も起こりサンゴ礁の成長と衰退に影響を与えた〔Hopley, pp. 27–28〕。珊瑚は直径で年間1-3cm成長するが、垂直方向の成長は年1-25cmにもなる。しかしこれには日光が欠かせず、そのために深度150m以上の場所では成長は難しい。クイーンズランドの海岸が2400万年前に熱帯気候となった頃、一部に珊瑚の成長が始まった〔Hopley, p. 29〕が、グレートディバイディング山脈の浸食によって堆積作用が始まり、三角州やおよびタービダイトが形成され、それらはサンゴの繁殖には阻害要因となった。1000万年前には蓄積した堆砂が水深を下げ、さらにサンゴの成長を邪魔する土砂がかぶりにくい沖まで堆積が進んだ。ただし暗礁となるには基盤となる部分へのさらなる堆積が必要だった。40万年前には間氷期が訪れ、浅い海の海水温度は一時的に4℃ほど上昇した〔Hopley, p. 37〕。
現在のグレート・バリア・リーフを形作る基盤となる地層は、古い暗礁や火山〔).〔の名残りなどを含む海丘の上にグレートディバイディング山脈からの堆積物が重なった開析海岸平野である。 (CRC)内のサンゴ礁リサーチセンターは、50万年前のサンゴ骨格による鉱床を発見した。グレート・バリア・リーフ海洋公園管理局 (GBRMPA)は、初期の暗礁は60万年前頃から形成が始まったという見解を述べ、現在生育しているサンゴ群はその上に、約2万年前から成長を始めたと考察している〔。もこれに同意し、成長開始の時期はに当たり、海深も現在より120mほど浅かったと述べている〔。
2万年前から6000年前にかけて海水準変動によって海面は上昇した。これに伴い、サンゴは海岸平野上でより高く成長した。1万3千年前の頃、海面は現在よりも60m程低く、その頃には海岸平野の丘状部はとなり、サンゴの繁殖はその周囲で起こった。海面が上昇に転じると大陸島は水没し、サンゴは海丘上全体で成長するようになり、現在の小や暗礁へと成長した。約6000年前から今日にかけての期間、グレート・バリア・リーフ周辺では海面上昇は起こっていない〔。CRCサンゴ礁リサーチセンターは、現在生育しているサンゴは8000-6000年前にサンゴ礁を形成したものが絶滅せずに繁殖しているとの見解を述べた.〔。リーフ形成当初のサンゴ礁と似た古代の堡礁は、西オーストラリア北部のキンバリー地域で見ることができる。
世界遺産に登録されたグレート・バリア・リーフの地域は70のエコリージョンに分けられ、うち30はサンゴ礁のエコリージョンである。北部にはリボンリーフ三角州堆積礁が形成されているが、それ以外の地域には同種のものは見られず〔、環礁は存在しない〔Hopley、p.7〕。また、サンゴ礁がオーストラリア大陸と接触している部分もほとんど無い〔Hopley、p.18〕。
裾礁は広く見られ、特にのような島と接触して形成されたものが南域で特に顕著である。も南部で多く、北部でも沖などで発達している。中部域で最も一般的な形態は、周辺などのようなであり、グレート・バリア・リーフ海洋公園最北部や南緯20-22度のスウェイン礁などでも確認される。はヨーク岬半島およびプリンセスシャロット湾からケアンズまで広く分布し、リーフ内の多くの島で発達している。〔Hopley、pp.158–160

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Great Barrier Reef 」があります。



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