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『大正野球娘。』(たいしょう やきゅう むすめ)は、2007年より日本で制作されている娯楽小説(ライトノベル)作品、および、これを原作としてメディアミックスで制作された同名の作品群。 まだ女性の社会進出が一般的でなかった大正末期にあって野球を始め、さまざまに努力を重ねる少女達の、明るい学園生活が描かれる。 トクマ・ノベルズedge(徳間書店)から刊行されている神楽坂淳のライトノベルであり(イラストは小池定路)、これを原作として、2009年11月までに漫画、ドラマCD、テレビアニメ、および、コンピュータゲームが制作された。 == あらすじ == 時は1925年(大正14年)。東邦星華高等女学院に通う鈴川小梅は親友である小笠原晶子の誘いで野球を始めることになった。きっかけは晶子の許婚である岩崎荘介が晶子に対して発した何気ない一言にあり、それは「女性に学歴など不要」で「主婦として家庭に入るべき」との、当時の社会ではごく一般的な考え方であったが、内心これに反発した晶子は態度を硬化させ、許婚が打ち込む野球でもって彼の鼻を明かしてやり、旧態依然とした認識を改めさせようと思い立つ。 小梅もまた晶子の気持ちを知って共感し、その目標に賛同したのであったが、誘った晶子ともども野球のルールなどまるで知らなかった。加えて、野球を始めるにあたって必要な9人のメンバーを集めることすら難しく、あの手この手で奔走することとなった。 何とか9人が揃い、アメリカ人女性の英語教師・アンナ先生を監督に迎えて、ようやく結成なったチームであったが、学校側は生徒が“女だてらに”野球をすることを表立っては認めたがらない。そこでこれに配慮してチーム名は、新たな時代を見据えて優れた西欧(西歐)文化を吸収するとの建前の下「歐化(おうか)」に掛けられ、「櫻花會(おうか-かい)」と決められた。 そして晶子と小梅は、岩崎が所属する朝香中学の野球部に勝負を挑み、打ち負かして見返すことを目標に、また二人とメンバーの少女達は、何より自分達の青春の充実のため、ひたむきに野球に打ち込み始めるのであった。 == 作風、等 == 表題の中の句点(。)は「モーニング娘。」(cf.)を始めとする現代日本サブカルチャーの変則的表現様式を踏襲したものである。 作風は制作メディアごとに異なり、漫画版(伊藤伸平版)はギャグ漫画、アニメ版はスポーツものの色合いが比較的に濃く、キャラクターデザインも小説版、各漫画版、アニメ版では大きな差がある。 女子生徒達の服装は和装(小振袖に行灯袴、ブーツを着用)と「舶来」のセーラー服が混在しているという描かれ方をしており、服飾史上の過渡期が表現されている。現実にも、関東大震災後、間も無い時期にあたるこの頃は、和装に取って替わるように洋装が大きな普及を見せた時節であった。 明治後期から大正にかけて実在した習慣も、アニメ版で取り入れられた。級長が終業時に「おジャンでございます。」と唱え、生徒一同が拍手で締める一連の動作や、正午(昼食どき)を知らせる合図として大砲を空撃ちする「お昼のドン」が主に挙げられる。なお、「おジャンでございます。」から拍手という流れは終業の合図として鳴らされる半鐘の音を元に学習院から流行りだした儀式的習慣であり、やがて他の学校にも波及していったものである(明治中期からあった拍手の習慣に「おジャンでございます。」が加えられた)。 アニメ第1話の冒頭では、大正時代の流行歌『東京節』(『パイノパイノパイ』とも称。原曲は『ジョージア行進曲[en]』)が、時代背景を紹介するための演出を伴う劇中歌として用いられた。ただし、歌詞に登場した建築物には、作中で描かれている時期には存在しないものが含まれる〔「十二階」こと凌雲閣は1923年(大正12年)に発生した関東大震災によって半壊し、同年、解体されており、アニメにも出ていない。1925年(大正14年)に失火により焼失する「両議院」こと第二回仮議事堂(cf. 国会議事堂)は建設中で、当時は健在である。〕。この曲は昭和時代にも数多くのリメイク曲が出されてヒットしていることから、昭和世代の日本人には馴染みがある。曲についての詳細は該当項目を参照のこと。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「大正野球娘。」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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